故実(読み)こじつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

故実
こじつ

儀式,典礼,行事,法制,服飾,軍陣などの規定,古例,習慣で,最も模範的な例証をいう。普通,有職 (ゆうそく) 故実と呼びならわされているが,有職とは公家故実を,故実とは武家故実をさす場合が多い。平安時代中期以降,宮廷中心の年中行事が盛んになると,その作法や先例などが重んじられ,九条 (藤原師輔) ,小野宮 (藤原実頼) ,西宮 (源高明) の三大源流が生れ,『西宮記』『北山抄』などの公家故実書が著わされた。このような傾向は武家にも及び,室町時代には伊勢,小笠原の両氏が武家の故実を司り,江戸時代には吉良,畠山などの5家が高家として,武家故実の伝承にあたった。

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大辞林 第三版の解説

こじつ【故実】

〔古くは「こしつ」とも〕
儀式・法制・作法・服飾などの古い規定や習慣。後世、特に武家社会の先規・先例のみをさすことがある。 → 有職ゆうそく

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精選版 日本国語大辞典の解説

こ‐じつ【故実】

〘名〙 (古くは「こしつ」)
① 儀式、法令、軍陣、作法などの先例と、先例となるに足りる事例。また、それに通暁して、実状に照合し、先例の適否の判断能力のある人。
※類聚国史‐七四・冬至・弘仁一三年(822)一一月丁巳「践長之慶非故実。延祚之義。抑有前聞
※徒然草(1331頃)九九「たやすく改められがたき由、故実の諸官等申しければ」 〔国語‐魯語〕
② 心得ておくべきこと。
※正法眼蔵随聞記(1235‐38)六「学道の用心と云ふは、わが心にたがへども、師の言葉、聖教のことばならば、暫く其れに随って、本の我見を捨てて改めゆく、此の心、学道の故実也」
③ 猶予すること。免除。
※大乗院寺社雑事記‐寛正六年(1465)一一月六日「祈祷中事尤可故実事歟」

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世界大百科事典内の故実の言及

【有職故実】より

…平安時代以後,朝廷の儀式典礼を行う場合,そのよりどころとなる歴史的事実を故実といい,この故実に通じていることを有職といった。有職は〈ゆうそこ〉ともいい,古くは有識と書いた。…

※「故実」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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