改訂新版 世界大百科事典 「嘯山」の意味・わかりやすい解説
嘯山 (しょうざん)
生没年:1718-1801(享保3-享和1)
江戸中期の俳人。姓は三宅,名は芳隆。葎亭(りつてい),滄浪居とも号す。京の商人で,《嘯山詩集》を残す文人学者でもあり,1763年(宝暦13)刊の《俳諧古選》では漢詩の評語で歴代の佳句を評して名声を得る。また太祇と《俳諧新選》を編み,この2著で平明調と高華俊逸調の両立を説き,蕪村などにも影響を与えた。《平安二十歌仙》の作者の一人で,蕉風中興の気運をつくった京俳壇の重鎮である。中国白話に堪能で,《通俗酔菩提全伝》《通俗大明女仙伝》の訳書,《宿直文(とのいぶみ)》の読本をも成した。句集に《葎亭句集》《葎亭画讃集》があり,《俳諧独喰》など編著も数多い。〈短夜や未(まだ)濡色の洗ひ髪〉(《葎亭句集》)。
執筆者:田中 道雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報