歌と音楽を用いる田植を囃田といい、花田植(はなたうえ)あるいは大田植(おおたうえ)などともよばれている。花田植の名は華やかな田植の意であろうが、大田植の呼称はその田植方式の社会的側面を表している。鳥取県の大山(だいせん)以西から島根県、岡山県南西部から広島県、山口県の一部にかけて中国山地の両側の村々に伝えられてきた。普通、10戸内外で田植組をつくり、田の神を祀(まつ)って、笛、鉦(かね)、簓(ささら)、腰鼓(こしつづみ)、小鼓などで囃(はや)しながら代掻(しろか)きや田植を進行させる。その指揮には「さんばい」とよぶ簓役があたり、田歌(たうた)の音頭(おんど)をとって早乙女(さおとめ)と掛け合いで歌いながら作業をする。かつては村々で100首内外の田歌を記した草紙(そうし)をもち、この方式で1戸の田植を1日で終えることにしていた。一般農家の場合、10戸程度の田植組で事足りるが、なかには総勢100人から200人を動員する例もあった。要するにこの田植方式は、田楽(でんがく)を導入した大田植の遺風であり、四国や北九州、および近畿から東海道筋まで行われていたことが、田遊(たあそび)の面からも知ることができる。現在は広島県山県(やまがた)郡北広島(きたひろしま)町新庄(しんじょう)の囃田、国指定重要無形民俗文化財の北広島町壬生(みぶ)の花田植などが知られている。
[新井恒易]
なお壬生の花田植は、2011年(平成23)ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。
[編集部]
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