最新 地学事典 「固着すべり」の解説
こちゃくすべり
固着すべり
stick-slip
摩擦すべり過程で,不安定すべりの発生による系のポテンシャルエネルギーの解放後,接触面が再び固着し,外力によるポテンシャルエネルギーの蓄積を経て,再び不安定すべりによる系のポテンシャルエネルギーの解放過程が繰り返される一連の現象。スティックスリップとも。接触した2面の摩擦すべりには安定すべりと不安定すべりの二つがある。安定すべりとは,外力の持続的作用によってのみ進行するすべりで,その速度は荷重(または変形)速度に依存する。不安定すべりとは,すべり時に解放された系のポテンシャルエネルギーが運動エネルギーに変換され,運動エネルギーにより外的制御を越えてすべりが高速で進展することをいう。固着すべりは,断層面での力学挙動に関係するため,地震の発生メカニズムとして注目されている。また,斜面変動の研究分野においても,地すべり現象にみられる緩慢な移動や停止の繰り返しの動態を固着すべりとして捉える見方がある。地すべり粘土を用いた剪断試験でも,剪断応力が小刻みな変動を繰り返しながら微小変位を繰り返す固着すべり挙動が実験的に検証されている。
執筆者:大中 康譽・柴崎 達也
参照項目:安定すべり
参照項目:速度・状態依存摩擦則
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

