朝日日本歴史人物事典 「土屋善四郎」の解説
土屋善四郎(初代)
生年:生年不詳
江戸中期の出雲国(島根県)布志名焼の陶工。名は芳方。土屋家は信州(長野県)松本の出身と伝えられ,父は松江横浜町で土器職を営んだ土器屋善右衛門。宝暦6(1756)年,6代松江藩主松平宗衍の命により,楽山焼を再興すべく御立山(楽山)焼物師となる。安永9(1780)年,7代藩主松平治郷(不昧)が布志名焼の陶工に御好物を命じたが不首尾のため,初代善四郎が楽山から布志名村へ移り,布志名焼の焼物御用教方を勤めた。楽山焼,布志名焼をあわせて出雲焼と称するが,初代善四郎は出雲焼の中興の祖といえよう。その子2代善四郎政芳も江戸大崎の別邸,三の丸御殿,楽山,玉造などで御庭焼に従事し,不昧より「雲善」の号と瓢形印を賞賜し,以後,布志名焼土屋窯では代々この印を用いている。
(伊藤嘉章)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報