土屋善四郎(読み)つちや・ぜんしろう

朝日日本歴史人物事典 「土屋善四郎」の解説

土屋善四郎(初代)

没年:天明6.1(1786)
生年:生年不詳
江戸中期の出雲国(島根県)布志名焼の陶工。名は芳方。土屋家は信州(長野県)松本の出身と伝えられ,父は松江横浜町で土器職を営んだ土器屋善右衛門。宝暦6(1756)年,6代松江藩主松平宗衍の命により,楽山焼を再興すべく御立山(楽山)焼物師となる。安永9(1780)年,7代藩主松平治郷(不昧)が布志名焼の陶工に御好物を命じたが不首尾のため,初代善四郎が楽山から布志名村へ移り,布志名焼の焼物御用教方を勤めた。楽山焼,布志名焼をあわせて出雲焼と称するが,初代善四郎は出雲焼の中興の祖といえよう。その子2代善四郎政芳も江戸大崎の別邸,三の丸御殿,楽山,玉造などで御庭焼従事し,不昧より「雲善」の号と瓢形印を賞賜し,以後,布志名焼土屋窯では代々この印を用いている。

(伊藤嘉章)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「土屋善四郎」の解説

土屋善四郎(初代) つちや-ぜんしろう

?-1786 江戸時代中期の陶工。
代々出雲(いずも)松江横浜の土器師(かわらけし)。宝暦6年松江藩の命をうけ楽山焼の焼物師となる。安永9年布志名(ふじな)村にうつり,焼物御用教方などをつとめた。布志名焼土屋窯の祖。天明6年1月12日死去。名は芳方。

土屋善四郎(2代) つちや-ぜんしろう

?-1821 江戸時代後期の陶工。
文化2年業をつぐ。出雲(いずも)松江や江戸大崎の藩主別邸で御庭焼に従事,藩主松平治郷(はるさと)より雲善の号をあたえられた。以後,代々この号をもちいた。文政4年1月27日死去。名は政芳。

土屋善四郎(3代) つちや-ぜんしろう

?-1854 江戸時代後期の陶工。
文化12年業をつぎ,出雲(いずも)(島根県)布志名(ふじな)村で茶碗をやく。嘉永(かえい)7年1月13日死去。名は起徳。号は雲善。

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