改訂新版 世界大百科事典 「シェースの反乱」の意味・わかりやすい解説
シェースの反乱 (シェースのはんらん)
Shays's Rebellion
1786-87年,アメリカ合衆国マサチューセッツ邦西部で起きた農民反乱。独立後の経済不況は,現金収入の乏しいマサチューセッツ邦西部の小農民に重税と負債の苦しみを加重した。彼らは,税の軽減,滞納税と負債の強制執行延期,負債投獄者の救済,法定紙幣の増発を同邦議会に請願していたが,議会は1786年7月になんらの対策もとらずに閉会した。不満を高めた西部農民約500人は農民出身の復員大尉シェースDaniel Shays(1748-1825)の指揮下にスプリングフィールドに集まり,最高裁判所の開廷を阻止し,兵器厰も占拠しようとし,さらにこの反乱は隣邦農民にも波及した。財政難の連合会議は対処できず,ボストンの有力者たちの募兵によって鎮圧されたが,反乱に対する同情が強かったので全員大赦された。しかし,この反乱は全国的衝撃を与え,強力な中央政府樹立の気運を高め,合衆国憲法制定の一因となり,他方では,この憲法は金持ち・名門のためのものであるという憲法反対論にもつながった。
執筆者:武則 忠見
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報