最新 地学事典 「地球磁場の逆転」の解説
ちきゅうじばのぎゃくてん
地球磁場の逆転
reversal of the geomagnetic field
地球磁場の時間的変動のうち,地磁気双極子の極性が変化する現象。現在のように地磁気双極子のS極が北極側にある正磁極(normal polarity)とその逆の逆磁極(reversed polari-ty)の状態が交互に起こる。新第三紀以降の火山岩のなかに現在の地球磁場方位と逆向きの残留磁化をもつものがあることを発見したB.Brunhes(1906)や松山基範(1929)によって提唱されたが,自己反転磁化の発見により疑問視されたこともあった。1960年代になってA.Cox, R.Doell, G.DalrympleやI.McDougallらは正帯磁した火山岩と逆帯磁した火山岩の放射年代が系統的に異なることを示し,約3.5Maから現在まで正磁極の期間と逆磁極の期間が繰り返されたことを明らかにした。また,海底堆積物の残留磁化や海洋底の縞状磁気異常にもよく一致した極性変化が見いだされ,地球磁場の逆転が実証された。縞状磁気異常から推定されるジュラ紀後期以降の地磁気極性年代尺度では,地球磁場逆転の間隔に特定の周期はみられない。白亜紀には約4,000万年にわたる正磁極の期間が存在したが,最近500万年間の平均的な逆転間隔は約20万年である。逆転に要する時間は数千年~1万年程度と見積もられ,その間の地磁気強度は通常より弱いと推定されている。さらに,仮想的地磁気極(VGP)の移動経路が地域によって異なることから,地球磁場の逆転時には地芯双極子が減衰し,逆向きに成長したと考えられる。地球磁場が逆転または中間的な方位をとった後,1万年以下の短期間のうちにもとの状態に戻ったことを示唆する残留磁化の記録も知られている。このような現象をエクスカーション(geomagnetic excursion)と呼び主要なものは地球磁場強度の極小期に相当する。
執筆者:林田 明
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

