古地磁気学(読み)コチジキガク(その他表記)paleomagnetism

精選版 日本国語大辞典 「古地磁気学」の意味・読み・例文・類語

こちじき‐がく【古地磁気学】

  1. 〘 名詞 〙 岩石に残された地質時代の磁気を研究する学問。そのためには、地球の磁場は、地質時代を通じて双極子磁場型であったこと、極性は逆転し得ること、双極子の軸と地球の自転軸はほぼ一致していたことなどの仮定が必要である。研究の結果、極の位置が大きく変化してきたことや、諸大陸が互いにその位置を変えてきたことなどが明らかにされてきた。

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最新 地学事典 「古地磁気学」の解説

こちじきがく
古地磁気学

paleomagnetism

過去の地球磁場を岩石ないしは考古遺物の残留磁化を用いて復元する学問。古地磁気学の目的は大きく三つに分けることができる。1)地球磁場の性質の研究。人類による記録が始まる以前の地球磁場のふるまいを知るには古地磁気学によるほかない。地球磁場の性質の研究は地球の外核の性質の研究にも連なり,ひいては地球の熱史を知るための情報も期待される。2)地塊の移動・回転などの検出。岩石の生成時の地球磁場は真北からさほどはずれていなかったと仮定すると,測定された残留磁化の偏角は地塊の回転を示すことになる。伏角からは緯度が推定でき,南北方向の移動がわかる。また,一つの地塊について複数の時代の古地磁気がわかれば,経度方向の移動も知ることができる。この手法は大陸移動説の復活に大きく貢献した。3)年代の推定。磁気層位学と呼ばれる分野で,逆転などの地球磁場変動の年代表を用意して,年代不詳の岩石等の古地磁気をそれと比較することによって年代を推定する。このように古地磁気学は地球科学の他の分野に有用な情報を提供するが,岩石の磁化の測定から古地磁気の推定までの過程は単純でない。磁性鉱物の主要な元素である鉄イオンは周囲の状況で価数が変化し,場合によっては磁化が大きく変化する。特に堆積岩の古地磁気を利用する場合には,さまざまな消磁法や磁化獲得時期のテストがきわめて重要である。

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参照項目:岩石磁気学
参照項目:磁気層位学
参照項目:褶曲テスト
参照項目:消磁
参照項目:接触域テスト
参照項目:見かけの極移動曲線
参照項目:礫岩テスト

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古地磁気学」の意味・わかりやすい解説

古地磁気学
こちじきがく
paleomagnetism

過去における地球磁場の変遷を調べ、そのデータを用いて過去の磁場の特徴を抽出し、さらに応用として過去の地殻変動や大陸の移動などを推測する学問。火成岩、堆積(たいせき)岩などはその生成した当時の磁場の方向を残留磁化として保持している。この残留磁化を測定して、逆に過去の磁場を知るわけである。世界各地での測定から、過去においても地球磁場はおおよそ双極子型をしており、またしばしば極性の反転があったことが明らかになった。地磁気の反転は、海洋底拡大のようすを調べるための強力な手段となり、また磁場が双極子型であるために、異なる大陸間の相対運動が導かれることが、プレートテクトニクス以前の大陸移動説の復活(1950年代)に重要な役割を果たした。現在では、海洋底拡大の証拠が残っていない、いまから約2億年より以前の大陸移動を検証することや、地磁気逆転、強度変化など、地磁気発生の原因論にとって基本的なデータを提供することに重要な寄与をしている。

[河野 長]

『小玉一人著『古地磁気学』(1999・東京大学出版会)』

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百科事典マイペディア 「古地磁気学」の意味・わかりやすい解説

古地磁気学【こちじきがく】

地球表面の岩石に残された自然残留磁気を手掛りに地質時代の地球,または地球磁場を研究する学問。岩石が生成された時点における地球磁場の相対的強さと方向がわかるので,地球磁場の形が過去も現在と同様な双極子磁場であると仮定すれば磁極との相対的位置関係が推定できる。放射性同位元素による絶対年代決定も併用され,多くの重要な発見が行われている。たとえば,地質時代の地球の磁極の見かけ上の移動から,約1億年前から現在にかけて大陸が相対的に移動したこと(大陸移動説),大洋底に発見される大規模な縞(しま)状の地磁気異常がプレートの運動と地球磁場の反転との合作による産物と説明されていることなどがあげられる。また,地球磁場の反転は汎地球的におこるので,地層の時代の対比の手段にも用いられる。最近は,地質時代の地球磁場の大きさの変化の状態を研究することによって,地球の気候変動との関連,双極子磁場の形成時期の推定などもこころみられている。
→関連項目気候変化地球磁場

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古地磁気学」の意味・わかりやすい解説

古地磁気学
こちじきがく
paleomagnetism

岩石のもつ自然残留磁気がその岩石の生成された時代の地球磁場の大きさ,方向を表わしている場合があることを利用して,地質時代の地球磁場の歴史を調べる学問。 1950年代岩石磁気学の発達とともに古地磁気学も進歩し,大陸移動,極移動,地球磁場の逆転などが明らかにされつつある。

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世界大百科事典(旧版)内の古地磁気学の言及

【古地磁気】より

…過去の地磁気を古地磁気と呼び,その状態を研究する分野を古地磁気学と呼ぶ。特に1万年くらい前までの期間についての古地磁気学を考古地磁気学と呼んで区別することがある。…

※「古地磁気学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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