均衡成長・不均衡成長(読み)きんこうせいちょうふきんこうせいちょう(その他表記)balanced growth

日本大百科全書(ニッポニカ) 「均衡成長・不均衡成長」の意味・わかりやすい解説

均衡成長・不均衡成長
きんこうせいちょうふきんこうせいちょう
balanced growth
unbalanced growth

均斉成長・不均斉成長ともいう。この概念は、経済成長論と経済発展論のそれぞれの理論的文脈において若干のニュアンスの相違をもって用いられている。

 経済成長論では、モデル分析との関連で、より解析的で限定的な意味づけがなされている。すなわち、動学的な経済成長過程において、経済システムを構成している産出量、消費、資本ストック、労働などの諸変数が時間の経過とともに同一の一定率で成長している状態、あるいは、多部門成長モデルでは各産業の生産量が同率で成長する状態、いいかえれば、システムが規則的に拡大する状態を均衡成長とよび、そうでない状態を不均衡成長とよんでいる。そして分析の焦点はもっぱら均衡成長経路の存在、一意性、安定性などに向けられている。

 これに対して経済発展論では、発展途上国の経済開発や経済発展の戦略として均衡成長・不均衡成長の概念が用いられることが多い。すなわち、R・ヌルクセやローゼンシュタイン・ロダンらは、経済発展過程での同時多面的投資、各産業部門のつり合いのとれた発展などの均衡成長の必要性を主張するのに対して、A・O・ハーシュマンらは、経済発展はそもそも連続的な不均衡成長の結果であるとして、不均衡の連鎖としての発展およびそれに基づく投資戦略・投資基準などを経済発展の戦略として主張している。

[羽鳥 茂]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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