家庭医学館 「基底細胞がん」の解説
きていさいぼうがん【基底細胞がん Basal Cell Carcinoma】
もっとも頻度の高い皮膚がんで、高齢者の顔面によくできます。長い年月、日光に曝(さら)されることが重大な原因と考えられており、高齢化社会になって、ますます患者さんが増えています。
メラノーマと同様、皮膚が黒色調に変わることで気づくのですが、小さいうちはほくろとまちがわれたりします。大きくなると潰瘍化(かいようか)してくずれてしまいます。
●自己発見法
表面がなめらかで透明感があるのが基底細胞がんの特徴ですが、診断確定には、やはり皮膚科専門医の診察が必要です。
お年寄りの顔に濃い黒色の結節ができ、ほくろやいぼとはようすが異なるようでしたら、皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
このがんは悪性度が低く、転移することはほとんどありません。ただし、放置しておくと、無制限に増殖して深いところに侵入し、筋肉や骨をえぐってしまう可能性もありますから、注意は必要です。
●基底細胞がんは転移しないのになぜこわいのか
基底細胞がんはほとんど転移せず、このがんで死亡することはまれです。しかし、局所で増殖する力が強く、皮膚の下の筋肉や骨にまで侵入して、これらを破壊します。
放置しておくと、鼻や目が完全にえぐり取られてしまうことさえありますので、手遅れにならないうちに発見し、治療しなければなりません。
[治療]
手術で患部を完全に摘出すれば完治します。放射線療法も有効です。