塔森村(読み)とうのもりむら

日本歴史地名大系 「塔森村」の解説

塔森村
とうのもりむら

[現在地名]南区上鳥羽塔かみとばとうもりうめ江川えがわ町・上河原かみかわら上開かみひらきうち柴東しばひがし町・下河原しもかわら下開しもびらきうち洲崎すざき町・西河原にしがわら町・東向ひがしむこう町・柳原やなぎはら四ッ谷よつや町〉

北は上鳥羽村しま村に隣し、東西の南辺はかも川・かつら川で境され、村域の東方を西高瀬にしたかせ川が南北に貫いて鴨川に流込む三川が合流する低地に営まれた村。

この地は、古代の鳥羽郷(和名抄)に属して、紀伊郡条里の上津田里・下津田里・石蓮里などに相当し、佐比さい河原の北辺に形成された集落で、古くは庶民の葬送の地としてあり(「類聚三代格」貞観一三年閏八月二八日官符)、その墓塔が乱立していたことから「塔ノ森」という地名が生れたといわれる。

古代における塔森は、佐比津さいのつ・佐比川橋、あるいは佐比寺に関する事柄以外は十分に明らかでないが、中世には、例えば「近衛公名日記」嘉吉三年(一四四三)二月九日条に「塔ノ森船渡代官山本弥次郎、依為徳政ノ張本人」とか、「管領記」(「山城名勝志」所引)大永七年(一五二七)二月一二日条に「御所様モ六条ヘ御動座アリ、道永細川高国入道モ妙本寺ヘ出張ス、御勢ハ本海道鳥羽ノ塔ノ森ニ陣取テ桂ヲ上ル敵ヲ待ツ」などというように、史料上にその地名がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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