大学事典 「壁のない大学」の解説
壁のない大学
かべのないだいがく
壁のない学校(school without walls)の大学版。1960年代に,旧来の強制性の強い学校から学習者の主体性を生かした学校への転換を図ろうとする,オルタナティブ・スクールの運動がアメリカ合衆国を発信源として起こり,その思想のもとにつくられた学校がフリースクール,オープンスクール,壁のない学校などと称された。1971年に連邦教育省が,マサチューセッツ州立大学(アメリカ)アマースト校などの大学が成人などの非伝統的な学生にフレキシブルな学位プログラムを提供したのに対し,壁のない大学プログラム補助金を出して支援するなどしたことから,大学でもこの名称が普及した。成人が大学で学ぶことがある程度一般化した現在では,その独自性は影が薄くなってはいるが,学習者主体のプログラムであることの思想を具体的に示せる名称としての価値は失ってはいない。また制度的な大学ではなく,ボランティア的な学習プログラムがこの名称を用いている場合も多い。
著者: 舘 昭
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報