オープン・スクール(読み)おーぷんすくーる(英語表記)open school

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オープン・スクール」の意味・わかりやすい解説

オープン・スクール
おーぷんすくーる
open school
open-plan school

伝統的な教室よりも2~3倍広い教室を使って教育活動を行う幼稚園などの就学前学校小学校をさす。伝統的なくぎり(壁)を廃止したオープンな教室は、子供たちが自らの興味・要求動機に基づき、自らの意思でアクセス(接近)できる多様な教授区域に分けられる。

 イギリス幼児学校から始まったオープン・スクール、あるいはオープン・クラスルームは、児童生徒を同一の年齢や能力に基づいて一つの大きなスペースに収容する。それは子供たちが個人または集団で自分たちの学習課題を独立して、ないしは教師援助の下に遂行することを認めるものであり、このようにして一つの教室内で多くの数の学習経験が同時に生まれることになる。力点は、
(1)暖かく、開放的な教師・生徒の関係
(2)非競争的・非抑圧的環境の下での自分のペースにあった自己決定学習
に置かれ、生徒を上から編成することを放棄し、統合された学習時間を保障する。すなわち、決められた時間割に基づく学習よりも、子供の要求・興味・動機が中心となる学習活動を行うのである。

 1940年代にイギリスの私立の就学前学校などで導入されたこの方式は、60年代にアメリカの就学前学校でも一般化するようになった。70年以降日本でも導入され、84年(昭和59)からは文部省(現文部科学省)が「多目的スペース」に補助金を出すようになり、新しいタイプの授業施設が生み出された。

[神山正弘]

『ジョナサン・コゾル著、石井清子訳『自分の学校をつくろう』(1987・晶文社)』『成田幸夫著『オープンスクールの挑戦 学校をかえる力――緒川小学校・学校改革の軌跡』(1987・ぎょうせい)』『中井良興他編著『オープンスクールをつくる――合橋小学校の改革とその歩み』(1996・川島書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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