改訂新版 世界大百科事典 「インファントスクール」の意味・わかりやすい解説
インファント・スクール
infant school
イギリスの幼児教育機関。起源は1816年R.オーエンが自分の工場のそばにつくった〈性格形成学院〉の一部をなす予備学校。その前身は子どもの共同遊び場。産業革命によってひきおこされた労働者家族の悲惨な生活が幼児の心身の発達に及ぼす悪影響を防止することを意図した。1824年ウィルダースピンS.Wilderspinが結成したインファント・スクール協会が,その普及に果たした役割は大きい。40年から国庫補助金を受け,76年教育法により世界にまれな5歳児以上の義務就学の受入機関となった。19世紀半ばに導入されたフレーベル主義の影響をうけ,それまでの知識教授強調から遊びや基礎的生活習慣の形成を重視するようになる。1944年教育法(バトラー法)以降,保育機能中心のナーサリー・スクールnursery school(2~5歳)と教授機能の比重が高いジュニア・スクールjunior school(7~11歳)をつなぐ機関として,国民教育制度の初等教育の中に位置づけられている。生徒数に応じ,初等学校内設置のものと独立のものとがある。
執筆者:宮沢 康人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報