外眼筋炎

内科学 第10版 「外眼筋炎」の解説

外眼筋炎(急性散在性脳脊髄炎)

(6)外眼筋炎(ocular myositis)
概念
 単一または複数の外眼筋の亜急性の炎症で筋腫脹が生じ,眼窩部の痛みと眼球運動制限による複視などを特徴とする.
原因・疫学
 多くは特発性であるが,Lyme病,連鎖球菌,帯状疱疹など細菌やウイルス感染に伴う自己免疫学的機序が想定されている.サルコイドーシス,全身性エリテマトーデス,Crohn病,側頭動脈炎などの膠原病に伴って生じるものがある.中年期に多く,女性にやや多い.
臨床症状
 急性ないし亜急性の眼窩部,眼窩後部の痛み,眼球運動時の痛み,複視,結膜充血,眼瞼下垂,眼球突出などが,片側あるいは両側性に起こる.
検査成績・診断・鑑別診断
 眼窩の造影MRI(冠状断,軸位断,脂肪抑制)が,眼筋の腫脹,信号変化,造影効果をとらえるのに最も感度がよい.免疫療法に対する反応性も参考になる.甲状腺眼症,眼窩先端症候群,内頸動脈海綿静脈瘻,眼筋型重症筋無力症,動眼神経麻痺などが鑑別にあがる.
治療・予後
 副腎皮質ステロイドの漸減投与で,多くは急速な改善と寛解が期待される.再発例や長期化する場合にはアザチオプリンなど免疫抑制薬,大量ガンマグロブリン療法,リツキシマブなどの有効例が報告されている.また自然寛解もある.[犬塚 貴]
■文献
Schoser BG: Ocular myositis: diagnostic assessment, differential diagnoses, and therapy of a rare muscle disease. Clin Ophthalmol, 1: 37-42, 2007.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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