日本大百科全書(ニッポニカ) 「多度大社」の意味・わかりやすい解説
多度大社
たどたいしゃ
三重県桑名(くわな)市多度町多度に鎮座。祭神は天津彦根命(あまつひこねのみこと)、天目一箇命(あめのまひとつのみこと)。社伝によると創建は雄略(ゆうりゃく)天皇の御代(みよ)と伝え、763年(天平宝字7)多度神宮寺を付設し、782年(延暦1)従(じゅ)五位下、833年(天長10)正(しょう)五位下、839年(承和6)正五位上、844年従(じゅ)四位下、859年(貞観1)正月正三位(しょうさんみ)、同年2月従二位、863年正二位を授けられ、その間850年(嘉祥3)に官社に列した。1017年(寛仁1)には一代一度大奉幣に預(あず)かり、『延喜式(えんぎしき)』神名帳に名神(みょうじん)大社として登載されている。1571年(元亀2)には織田信長の焼打ちにあい、慶長(けいちょう)年間(1596~1615)桑名城主本多忠勝(ただかつ)が再興した。旧国幣大社。5月4、5日の例祭に行われる上げ馬神事(県指定無形民俗文化財)は、少年6名が馬に乗り2メートル余の崖(がけ)を駆け登り、その成否でその年の豊凶作が占われる。1991年(平成3)からは流鏑馬(やぶさめ)祭が復活している。社宝の『多度神宮寺伽藍縁起並資財帳(がらんえんぎならびにしざいちょう)』、金銅五鈷鈴(ごこれい)、銅鏡30面は国の重要文化財。
[白山芳太郎]