六訂版 家庭医学大全科 「多指症」の解説
多指症
たししょう
Polydactyly
(子どもの病気)
どんな病気か
多指症とは、発生の重複により、過剰な指が形成されたものを指します。手の先天異常のうち最も多く、出生1000人に対し1人前後の頻度でみられます。
原因は何か
多指症は単独でみられることもありますが、先天奇形症候群(メッケル・グルーバー症候群、バーデット・ビードル症候群など)の部分症状としてみられることもあります。一部の症候群では最近、原因となった遺伝子(HOX、GLIなど)の変異が、発見されています。
検査と診断
多指症の診断は、出生時にすぐにわかりますが、胎児期に超音波検査で判明することも少なくありません。出生後、まず体に他の異常が合併していないかどうか、小児科医の診察を受けます。また整形外科専門医の診察を受け、手術の可否、時期について相談します。X線撮影で指骨の形態を評価してもらいます。
治療の方法
過剰な指は完全な指としての形態をもつ場合から、単なる肉塊が細い
後者に対しては、茎部を絹糸で
病気に気づいたらどうする
過剰な指が大きく、結紮や切除で治療できない場合には、小児の整形外科専門医の診察を受けます。
水口 雅
多指症
たししょう
Polydactyly
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな病気か
手の指の数が多い異常が多指症です。
原因は何か
手や指が形づくられるのは胎生6~8週とされ、このころの発生異常と考えられています。
症状の現れ方
完全な指の形をしていない状態から、爪ももっていて、ほとんど完全な形態のものまであります。
検査と診断
通常は視診だけでわかりますが、「
治療の方法
通常、1歳ころまでに切除手術を行いますが、時期が早いと構造が小さくて技術的に難しいことがあります。過剰指が小さく、機能もしていなければそちらの切除で問題はありませんが、残した指が将来変形してくる場合があります。大きさや機能が似たような指のいずれを切除すべきか判断が難しいことがあり、このような場合は専門的な知識・経験が必要です。
病気に気づいたらどうする
専門の整形外科医や形成外科医のいる病院を受診して相談してください。
奥住 成晴
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報