日本大百科全書(ニッポニカ) 「多肉セネシオ」の意味・わかりやすい解説
多肉セネシオ
たにくせねしお
キク科(APG分類:キク科)セネシオ属Senecioの多肉植物。属名のセネシオでよばれるものには、シロタエギクなどもあるが、一般には本属中の多肉性の種類をセネシオと通称している。多肉性のセネシオはアフリカ南部を中心に約80種あり、葉が顕著に多肉質の一群と、茎が多肉で、葉が消失傾向にある一群に大別される。前者では葉が球形で鎖(くさり)状につくミドリノスズ(緑鈴、英名グリーン・ネックレス)S. rowleyanus Jacobsen.がよく栽培され、吊(つ)り鉢に用いられる。またギンゲツ(銀月)S. haworthii Sch.Bip.は紡錘形の葉が白い毛で覆われて美しい。後者ではテツシャクジョウ(鉄錫杖)S. stapeliaeformis Phillipsが代表的である。また東アフリカの高山には、高さ5メートルを超える巨草のジャイアント・セネシオDendrosenecio johnstonii (Oliv.) B.Nord.(S. johnstonii Oliv.)が林立し、独自の景観をつくっている。その成長は遅く、密生した葉は枯れても茎を取り囲んで長く残るので、茎は夜間の氷点下の寒さから保護されている。
[湯浅浩史 2022年3月23日]