多重散乱(読み)タジュウサンラン(その他表記)multiple scattering

デジタル大辞泉 「多重散乱」の意味・読み・例文・類語

たじゅう‐さんらん〔タヂユウ‐〕【多重散乱】

多数粒子による散乱が次々と起こること。物質中に光や粒子線が入射したときなどに生じる。一つの粒子で一度だけ起こる単一散乱に対していう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多重散乱」の意味・わかりやすい解説

多重散乱
たじゅうさんらん
multiple scattering

多数の粒子によって散乱が次々と続けて起る現象。物質には多数の分子が含まれているから,これにX線や粒子線が入射するときには,一般に多重散乱が起り,1回の散乱より散乱角が大きくなったり,散乱波の間に干渉が起ったりする。このため,1回の散乱の断面積などを求めるには,多重散乱の影響を補正しなければならない。また原子核による入射粒子の散乱は,核内の多数の核子による多重散乱の効果を総合したものと考えられ,平均して光学ポテンシャルによるものとして扱うことができる。

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世界大百科事典(旧版)内の多重散乱の言及

【光散乱】より

…このため朝焼けや夕焼けは赤く見える。 光散乱には,粒子密度によって単一散乱と多重散乱がある。単一散乱は,すべての粒子が入射光に直接さらされ,入射光が1回だけ各粒子で散乱される場合である。…

※「多重散乱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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