散乱波(読み)さんらんは(英語表記)scattering wave

精選版 日本国語大辞典 「散乱波」の意味・読み・例文・類語

さんらん‐は【散乱波】

  1. 〘 名詞 〙 電離層での電子密度の違いや、対流圏での大気屈折率の乱れで乱反射した電波

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「散乱波」の意味・わかりやすい解説

散乱波
さんらんは
scattering wave

散乱によって生じた波で,通常は球面波である。量子力学ではたとえば標的を原点,入射波の進行方向を z 軸として極座標 を考えると,波動関数の十分遠方での形 (漸近形) は となり,第1項が入射平面波,第2項が散乱波を表わす。係数 散乱振幅である。2粒子の弾性散乱はポテンシャル V による散乱と考えることができるが,V球対称 (中心力) の場合には,角運動量が保存される。波動関数 ψ(r) を方位量子数 l についてルジャンドル多項式 (→ルジャンドルの関数 ) Pl( cos θ) で展開し ψ(r)=Σψl(r)Pl( cos θ) とするとき,l=0 に対する部分波がS波,l=1 に対する部分波がP波である。低エネルギーでは,散乱は l が小さい状態,特にS波でおもに起る。散乱波の十分遠方での位相を実験的に決定することは,入射粒子の標的から受ける相互作用ポテンシャルを知るための手掛りとして重要である。

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世界大百科事典(旧版)内の散乱波の言及

【散乱波通信】より

…電波が対流圏や電離層に入射したときに乱反射したものを散乱波といい,この散乱波を利用して行う通信。散乱された電波のエネルギーは微弱であるが,高感度の受信機によって遠距離まで通信できる。…

※「散乱波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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