多野窯跡群(読み)たのようせきぐん

日本歴史地名大系 「多野窯跡群」の解説

多野窯跡群
たのようせきぐん

多野郡吉井よしい町南東部から藤岡市西部の丘陵地帯に形成された窯跡群。藤岡市側の日野金井ひのかない支群、吉井町側の多比良たいら支群に大別される。日野金井支群は、窯跡として明確なものは金山かなやま窯跡のみであるが、ほかに瓦が散布し、窯跡との関連が推定される遺跡として金井の大平おおたいら鮎川の尺地あゆがわのしやくじ平井ひらいうえがある。金山窯跡は鮎川左岸の丘陵に東から浸食した風呂ふろやつという小支谷の北側斜面標高一六〇メートルにある。大正一一年(一九二二)に発見され、上野国分寺生産窯と考えられてきた。昭和三九年(一九六四)三基の窯跡のうち二基が発掘調査された。一号窯跡は全長四・五メートル、二号窯跡は全長四・四メートルで、いずれも地下式無階無段の登窯である。出土遺物は瓦が大半を占め、須恵器と瓦質土器が少量ある。軒丸瓦は単子葉五弁蓮華文、軒平瓦は右偏行唐草文と流水文状の変形唐草文で、このほかに文字瓦として刻印の「當」、篦描の大、中、月などがある。なお、表採資料として重弁四弁文軒丸瓦、均整唐草文軒平瓦、篦描の文字瓦で緑野みどの郡、寺、子南、上、および陶製水煙などがある。大平遺跡、尺地遺跡、上ノ場遺跡は布目瓦が出土するが、詳細は不明である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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