夢違観音(読み)ゆめたがいかんのん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「夢違観音」の意味・わかりやすい解説

夢違観音
ゆめたがいかんのん

「ゆめちがいかんのん」とも読む。法隆寺の大宝蔵殿に安置されている観音菩薩立像。国宝。銅製鍍金で像高 87.3cm。頭部の三面宝冠と台座は別鋳で本体は一鋳になり,内部空洞。像名の「夢違」は,江戸時代に書かれた『古今一陽集』に,「悪い夢を見たとき,この観音像に祈るとよい夢に変えてくれる」とあることに由来し,一般に親しまれている。白鳳時代の代表作の一つ。なお台座は江戸時代の後補。

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旺文社日本史事典 三訂版 「夢違観音」の解説

夢違観音
ゆめちがいかんのん

奈良の法隆寺にある白鳳時代の金銅像
悪夢をみたとき,この観音に祈ると善夢にかえてくれるという。直立し,唇に飛鳥時代古拙 (こせつ) な微笑アルカイック‐スマイル)の名残があるが,薄い裳や三面宝冠はこの像が白鳳時代の作であることを物語る。

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世界大百科事典(旧版)内の夢違観音の言及

【法隆寺】より

…なお金堂薬師如来は推古15年(607)造顕の銘を持ち,古拙な表現をとるが,金堂完成後の擬古作とする説もあり,その銘の信憑性が疑われている。 白鳳時代を代表する仏像は,夢違観音の名で親しまれる聖観音像,橘夫人念持仏と伝える阿弥陀三尊像がある。唐代の,より完成した様式への接近をうかがわせる。…

※「夢違観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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