古式の微笑。古代ギリシアのアルカイック期(前7~前6世紀)の彫像に顕著な表情。唇の両端をやや上にあげて微笑の趣(おもむき)を表しているのでこのようによばれるが、これは彫像に生き生きとした感情を与えようとする芸術表現上の一つの特徴で、かならずしもすべてが微笑の感情を表現しているとは限らない。競技をする青年や瀕死(ひんし)の兵士の口元にもこのような表現がみられる。とくにイオニア系の青年像(クーロス)や婦人像(コレー)に著しいが、古典期の彫像では消え失せる。このような微笑は、西アジアやエトルリアの彫像、ならびに中国の北魏(ほくぎ)や日本の飛鳥(あすか)時代の仏像などにも認められる。
[前田正明]
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