大山寺(だいせんじ、鳥取県)(読み)だいせんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

大山寺(だいせんじ、鳥取県)
だいせんじ

鳥取県西伯(さいはく)郡大山町大山にある寺。天台宗の別格本山。角磐(かくばん)山と号する。本尊は地蔵菩薩(じぞうぼさつ)。養老(ようろう)年間(717~724)に金蓮上人(こんれんしょうにん)が開基したと伝え、地蔵菩薩を祀(まつ)り、767年(神護景雲1)称徳(しょうとく)天皇より大智明大権現(だいごんげん)の宝号を賜った。古来修験(しゅげん)の道場であったが、866年(貞観8)慈覚(じかく)大師円仁(えんにん)が留錫(りゅうしゃく)し阿弥陀(あみだ)仏を安置、大山寺と名づけ天台宗に列したという。平安時代には3000人余の僧兵を擁し、強大な勢力をもち、1333年(元弘3・正慶2)大山別当源盛(げんせい)は後醍醐(ごだいご)天皇を擁し、大山寺の僧を率いて船上山(せんじょうさん)で戦った。戦国時代には、尼子(あまご)氏、毛利(もうり)氏などの崇敬厚く、堂宇の再建、領地寄進を受けた。

 江戸時代、中興の祖豪円(ごうえん)の上申によって徳川家康より3000石の朱印状を受け、寺威盛んとなったが、維新時の神仏分離によって大神山(おおがみやま)神社奥宮(おくのみや)となり廃寺憂き目にあった。1903年(明治36)復号を許された。阿弥陀堂、木造阿弥陀三尊像、銅造観世音(かんぜおん)菩薩立像3体、銅造十一面観音(かんのん)立像は、いずれも国の重要文化財に指定されている。

[中山清田]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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