大神山神社(読み)おおがみやまじんじや

日本歴史地名大系 「大神山神社」の解説

大神山神社
おおがみやまじんじや

[現在地名]米子市尾高

尾高おだか地区の南部、精進しようじ川北岸にある。現在尾高にある社は里宮で、大山中腹の大山町大山の旧大智明だいちみよう権現本殿が奥宮とされている。「延喜式」神名帳記載の会見あいみ郡二座のうちの「大神オホムワノ山神社」に比定される。なお大神山は大山の別称でもある。いつ頃からか伯耆国二宮とされたらしく、近世の史料類には尾高村二宮大明神とみえる。祭神大己貴命を主祭神とし、大山津見神・須佐之雄神・少名毘古那神を祀る。だが元禄(一六八八―一七〇四)頃の米子の歌人竹内自安が記した「伯陽六社道の記」では、祠官の説として祭神は国常立尊であるとし、「伯耆民談記」では味耜高彦命と記す。「伯耆志」では祭神は大己貴命で少彦名命を配祀するとある。創始の年代は不明だが、承和四年(八三七)二月五日「会見郡大山神」は従五位下に叙せられ(続日本後紀)、以後斉衡三年(八五六)八月五日には正五位下(文徳実録)、貞観九年(八六七)四月八日には正五位上に叙せられている(三代実録)

当社の里宮・奥宮は本来独立した別の神社であったと考えられ、明治初年神仏分離の際、廃絶となった大智明権現を奥宮、尾高の二宮大明神を里宮とする大神山神社が新たに成立した。一方、大山中腹の奥宮とは別に、古くから山麓の現岸本きしもと丸山まるやま大神谷おおがみだに地内に大山拝礼の社地が設けられていたともされる。この社地は春分の日に太陽が大山頂上から昇るのを拝する位置を選んで建てられたと伝える。また大山麓では冬季に積雪のため奉仕が不便であるので、南西二里ほど下方の丸山地内に冬季奉仕の社殿を造営したともいわれ、山腹の夏宮を大山権現、丸山の冬宮を二宮大明神と称するようになったと伝える(県神社誌)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大神山神社」の意味・わかりやすい解説

大神山神社
おおがみやまじんじゃ

鳥取県米子(よなご)市尾高に鎮座。主神は大己貴神(おおなむちのかみ)(大国主命(おおくにぬしのみこと))、相殿に少彦名神(すくなひこなのかみ)、須佐之男神(すさのおのかみ)、大山津見神(おおやまつみのかみ)を祀(まつ)る。社伝によると、当初は大山(だいせん)(大神山)の中腹に鎮座していたが、延久(えんきゅう)・承保(じょうほう)(1069~77)のころ大山寺僧徒が両部神道(りょうぶしんとう)を唱えて山麓(さんろく)に移し、その後1680年(延宝8)現在地に遷座したと伝える。837年(承和4)従(じゅ)五位下を授けられ、867年(貞観9)には正五位上になっている。『延喜式(えんぎしき)』神名帳には小社として名をみせ、「おおみわのやま」と読まれていたという。後醍醐(ごだいご)天皇が船上山(せんじょうさん)に遷幸された際には、朝敵退散の祈願を込められたといわれている。また修験(しゅげん)道場としても栄えたが、明治の神仏分離により大山中腹に奥宮(西伯(せいはく)郡大山(だいせん)町)が置かれた。1871年(明治4)国幣小社に列した。例祭は、春季が4月29日、秋季は10月9日。

[落合偉洲]


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百科事典マイペディア 「大神山神社」の意味・わかりやすい解説

大神山神社【おおがみやまじんじゃ】

鳥取県米子市尾高,大山(だいせん)の中腹に鎮座。旧国幣小社。祭神は大穴牟遅(おおなむち)神。延喜式内社とされる。中世には修験道の霊場として栄え,近くに供奉寺の大山寺がある。例祭は10月9日。
→関連項目大山(鳥取)

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デジタル大辞泉プラス 「大神山神社」の解説

大神山神社

鳥取県にある神社。延喜式内社。本社は大山山麓(米子市)、奥宮は山頂(西伯郡大山町)に位置し、大山信仰の中心。祭神は大穴牟遅神(おおなむちのかみ)(本社)、大己貴命(おおなむちのみこと)(奥宮)。奥宮の権現造の社殿は日本最大級で、国の重要文化財に指定。

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世界大百科事典(旧版)内の大神山神社の言及

【大山】より

…最も多いのはシジュウカラ,ヒカラなどで,ついでアオゲラ,セキレイの類が多い。 大山は古来山岳信仰の対象とされ,中腹に大神山(おおかみやま)神社と天台宗大山寺がある。江戸期,大山寺は幕府より3000石を与えられ,14坊42塔頭(たつちゆう)があった。…

※「大神山神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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