大山柏(読み)オオヤマ カシワ

20世紀日本人名事典 「大山柏」の解説

大山 柏
オオヤマ カシワ

大正・昭和期の考古学者,公爵 大山史前学研究所代表;貴院議員。



生年
明治22(1889)年6月2日

没年
昭和44(1969)年8月20日

出生地
東京市

出身地
鹿児島県

学歴〔年〕
陸士(第22期)〔明治43年〕卒

学位〔年〕
文学博士(慶応義塾大学)〔昭和22年〕

経歴
大山巌元帥の二男。陸軍大学校図書室に勤め戦史研究に従事。小金井良精、松村瞭らの指導で先史学を研究。大正5年公爵を襲爵。12年渡欧、H・オーベルマイヤーらに師事し、旧石器時代の研究とヨーロッパ先史学を学んだ。帰国後の15年青山の邸内に大山史前学研究所を設立。昭和2年陸軍少佐、3年退役。4年史前学会を興し「史前学雑誌」を発刊、関東地方縄文文化編年研究などに従事。神奈川県勝坂遺跡の調査で縄文中期の打製石斧を土掘りの用具と推定した。ヨーロッパ先史学の紹介と日本の旧石器について体系化を図ったが、果たさぬまま18年軍務に復帰、のち施設、文献などすべて空襲に焼かれた。戦後は那須農場を経営。著書に「基礎史前学」「欧州旧石器時代」「史前芸術」「戊辰役戦史」(上 下)などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大山柏」の解説

大山柏 おおやま-かしわ

1889-1969 大正-昭和時代の考古学者。
明治22年6月2日生まれ。大山巌の次男。大正12年ヨーロッパに留学して,H.シュミットらに先史学をまなぶ。昭和初年東京青山に大山史前学研究所を設立。4年史前学会を創設し「史前学雑誌」を創刊。旧石器の研究につくした。昭和44年8月20日死去。80歳。鹿児島県出身。陸軍士官学校卒。著作に「基礎史前学」「欧州旧石器時代」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の大山柏の言及

【勝坂遺跡】より

…多摩丘陵と丹沢山地の間に広がる相模原台地の中央を南流する相模川左岸の,中位段丘面に立地し,湧水をはさむA,B,C,Dの4地点からなる。1926,27年に大山柏の史前学研究所が,東端のA地点を小発掘して,多数の〈厚手式土器〉,打製石斧を得た。この厚手式は,その後,阿玉台(おたまだい)式,加曾利E式と区別されて,本遺跡を標式とする勝坂式土器と呼ばれるようになった。…

※「大山柏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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