大森盛太郎(読み)オオモリ セイタロウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「大森盛太郎」の解説

大森 盛太郎
オオモリ セイタロウ


職業
作曲家 トロンボーン奏者

別名
筆名=大森 脩弘,堤 浩二,神 亮介

生年月日
明治44年 3月17日

出生地
東京市 神田区(東京都中央区)

経歴
昭和2年海軍軍楽隊に入隊。休みには横浜のダンスホールにくり出し、そこでジャズを知る。8年退役するとジャズの道に入り、トロンボーン奏者として船のバンドを経て、スタジオやダンスホールで演奏した。10年タイヘイ・レコード専属演奏家。やがて演奏家という枠にとらわれない活動を志向し、バンド仲間とともにリムスキー=コルサコフの教科書で和声学を学習した他、戦前・戦後を通じて坂西輝信、プリングスハイムらに師事し、音楽の基礎を勉強しなおした。15年には日本劇場に入るが、16年東宝撮影所音楽部に入社し、文化映画の作曲に携わる。また東京放送局国際局で対米放送の編曲者も務めた。19年応召して海軍省第十課に配属され、暗号書の制作に従事。戦後、20年にニューパシフィック楽団を経て、23年アーニーパイル劇場の編曲者。その後、映画や放送用の音楽を数多く手がけるようになり、NHK「世界の音楽」「あなたの作曲した歌」などの編曲、劇音楽の作曲を担当。映画作品では特に井上梅次監督・石原裕次郎主演で渡辺プロをモデルに戦後のジャズ界を描いた32年の「嵐を呼ぶ男」で知られ、井上監督作詞、自身作曲による同名の主題歌も大ヒットした。他にも山田耕筰作曲の「赤とんぼ」「この道」を主題とした“童謡映画”や、島耕二、松林宗恵、内川清一郎らの監督作品に多く参加しており、島監督の「幻の馬」「残菊物語」「有楽町で逢いましょう」「細雪」「情熱の詩人啄木」、井上監督の「嵐を呼ぶ友情」「銀座っ子物語」、松林監督の「青春ジャズ娘」、内川監督の「暴力の王者」、野口晴康監督の「大巨獣ガッパ」などをはじめ、200本を超える作品を手がけた。他の作品に交響詩「インド」「12のバレエ曲」、著書に、執筆に十余年を費やして日本の洋楽史をまとめた労作「日本の洋楽」(全2巻)などがある。

没年月日
昭和63年 12月25日 (1988年)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android