大森郷・永富郷(読み)おおもりごう・ながとみごう

日本歴史地名大系 「大森郷・永富郷」の解説

大森郷・永富郷
おおもりごう・ながとみごう

国衙領六郷ろくごう保内の郷で、大森は大杜、永富は長富郷とも書かれた。大森郷は近世大森村(東大森村・西大森村・北大森村)一帯に比定され、永富郷は大森郷の南に位置して現大森東五丁目辺りの小字中富なかとみが遺称地と推定されている。元久元年(一二〇四)一二月二〇日の大井実春譲状写(大井文書)に「武蔵国荏原郡内大杜郷并永富(郷カ)」とみえ、実春は子の四郎秋春に「限東海 限南鳥羽川流 限西一木 限北那由溝」を境界とする両郷を譲与した。建長四年(一二五二)三月五日、秋春は相伝所領を子の親実に譲ったが、その地は東は「いま(今)たいとう(大道)」、南は「かまた(蒲田)の浦」、西は「つゝミ浦一本木」、北は「那(由)溝」を境界としていた(「大井秋春譲状写」同文書)。四至のうち東が海から「いまのたいとう(鎌倉街道か)に、南が「鳥羽川」から「かまたの浦」に変わっている。鎌倉幕府成立後の往還の整備や地形の変化、河川の流路の変更などによるものであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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