朝日日本歴史人物事典 「大炊御門頼実」の解説
大炊御門頼実
生年:久寿2(1155)
平安末・鎌倉前期の公卿。太政大臣従一位。左大臣藤原経宗の長男。大臣の家の嫡子として順調に昇進を遂げ,建久9(1198)年11月右大臣となり,半年後,太政大臣となった。建仁3(1203)年,30年を共に過ごした妻がいるにもかかわらず,夫を亡くしたばかりの卿二位と結婚した。卿二位は後鳥羽上皇の側近の女房で,当時の朝廷の中心的存在であり,ほしいままの権勢を振るっていた。この結婚によって,頼実は娘麗子(陰明門院)を土御門天皇の皇后にすることができ,また後鳥羽上皇の後見という立場を得ることができた。朝廷の重要な政治決定は上皇と頼実夫妻の3人でなされており,上皇の政治の顧問として関白のような存在であったという。
(秋山喜代子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報