大般若転読 (だいはんにゃてんどく)
仏事の法要名。大般若経600巻を短時間に読み上げる法要。そのために,たとえば30人の職衆(しきしゆう)に20巻ずつ分担させるなどしたうえ,転読という速読法を用いる。転読は,巻物仕立ての経を転がしながら目をとおすことから出た言葉だが,法要には折り本を用い,表裏の表紙を両方の手で支え,経巻を右または左に傾けながら本文の紙をぱらぱらと一方へ落とすようにする。そのとき,経題だけは毎巻大声で読み上げる。この転読を中心とし,これに導師の〈経釈〉を加え,さらに〈表白(ひようびやく)〉〈神分(じんぶん)〉等を前置して法要を構成する。ていねいに勤めるときは,初めに《唄(ばい)》《散花(さんげ)》の声明曲(しようみようきよく)を唱える〈二箇法要(にかほうよう)〉の形式をとる。
執筆者:横道 万里雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の大般若転読の言及
【寺事】より
…以下はその代表的な具体例である。 諸宗派共通で(1)に属するものとしては[四箇法要](しかほうよう)・講経論義(こうきようろんぎ)法要などがあり,(2)に属するものとしては,祈願を目的とする[大般若転読](だいはんにやてんどく)法要・悔過(けか)法要([悔過作法]),仏祖・先人の供養を目的とする[懺法](せんぼう)法要・[講式]法要,修身を目的とする布薩(ふさつ)法要,学識試第を目的とする竪義(りゆうぎ)論義法要([竪義],[論義])などがある。また特定宗派のみで用いられ(1)に属するものに,真言宗の[理趣三昧](りしゆざんまい)法要・大曼陀羅供(だいまんだらく)法要,天台宗の[曼陀羅供]法要,浄土真宗の念讃法要などがあり,(2)に属するものに,祖師供養を目的とする天台宗の[御影供](みえく)法要,浄土宗の御忌(ぎよき)法要,浄土真宗の大師影供(だいしえいぐ)作法など,また願生浄土を目的とする浄土宗の十夜(じゆうや)法要,春迎えを目的とする時宗の別時念仏(べつじねんぶつ)法要などがある。…
※「大般若転読」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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