(読み)バイ

デジタル大辞泉 「唄」の意味・読み・例文・類語

ばい【唄】

声明しょうみょう一種漢語または梵語ぼんご偈頌げじゅを唱えるもの。短い詞章を一音一音長く引いて、揺りなどの節を多くつける。如来唄云何唄うんがばいなど。
唄器ばいき」の略。

ばい【唄】[漢字項目]

常用漢字] [音]バイ(呉) [訓]うた うた
〈バイ〉仏徳をたたえる歌。また、その歌をとなえる。「梵唄ぼんばい
〈うた〉「小唄長唄端唄はうた

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精選版 日本国語大辞典 「唄」の意味・読み・例文・類語

ばい【唄】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] pathaka の音訳、唄匿(ばいのく)の略 ) 仏語。
  2. 仏教儀式で唱える歌謡。漢語または梵語で偈(げ)・頌(しょう)を詠歌し、三宝の功徳を賛嘆するもの。短い詞章を一音一音長く引き伸ばして時間をかけてうたうことが多い。
    1. [初出の実例]「有講会。先唄無散花作法」(出典:参天台五台山記(1072‐73)一)
    2. [その他の文献]〔高僧伝‐一三〕
  3. ばいし(唄師)」の略。
    1. [初出の実例]「唄二人〈前小僧都心誉、法眼和尚位源賢〉」(出典:左経記‐寛仁四年(1020)三月二二日)
  4. 法会の時、諷誦に使用する楽器。唄器。
    1. [初出の実例]「唄(バイ)ひくほどに」(出典:米沢本沙石集(1283)八)

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普及版 字通 「唄」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] バイ
[字訓] うた

[字形] 形声
声符は貝(ばい)。いわゆる梵唄。〔玉〕に「梵の聲なり」とあり、梵語のpthakaを唄匿(ばいのく)と釈する。〔法苑珠林、三十六〕に「西方の唄るは、ほ東國の讚(さん)るがごとし」とあり、仏徳をたたえる讚仏歌をいう。わが国では小唄や俗謡の類にこの字を用いる。

[訓義]
1. うた、ほめうた、梵唄。
2. 小唄、端唄

[熟語]
唄音唄讚・唄士唄唱・唄声・唄仏
[下接語]
歌唄・吟唄・経唄・鐘唄・諷唄・梵唄

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「唄」の意味・わかりやすい解説

唄 (ばい)

声明曲(しようみようきよく)の曲名,また種類名。〈唄匿(ばいのく)/(ばいとく)〉の略。法要の初めに身心を静める意味で唱える曲で,職衆(しきしゆう)中の上席者である唄師が荘重に独唱する。字音を長く引き伸ばしながらユリなどの節を重ね,ゆったりと進行する曲節である。《云何唄(うんがばい)》《始段唄(しだんばい)(《如来唄》)》《毀形唄(きぎようばい)(《出家唄》)》などがある。別に,《三礼文(さんらいもん)》に引き続いて唱えたりする短い節の《如来唄(《中唄(ちゆうばい)》)》や,法要の終り近くに唱える《後唄(ごばい)(《処世界梵》)》があるが,唄の本来の性格は薄いといえる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「唄」の意味・わかりやすい解説


ばい

声明 (しょうみょう) の曲種名。唄匿 (ばいのく) の略,あるいは婆師 (ばし) の転音ともいわれる。中国では梵唄 (ぼんばい) の略として仏教声楽一般の総称でもあった。如来唄 (にょらいばい,天台では始段唄ともいう) と云何唄 (うんがばい) などがあり,前者は一箇法要,四箇法要 (しかほうよう) ,後者は二箇法要に用いられる。唄師 (ばいし) によって独唱されるが,唄には「止」の意があるとされ,法要の最初に仏を賛美し一座を静粛にする役割を果す。唄を唱えることを「唄を引く」というが,各字を非常に長い装飾的旋律で引延ばして唱える。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【四箇法要】より

…〈しかのほうよう〉とも読む。《(ばい)》《散花(さんげ)》《梵音(ぼんのん)》《錫杖(しやくじよう)》の四箇の声明曲(しようみようきよく)を具備した法要をさす。またこの4曲自体をさすこともあり,〈四箇法要付きの舎利講式〉というような言い方も行われる。…

【二箇法要】より

…〈にかのほうよう〉とも読む。《(ばい)》《散花(さんげ)》の二箇の声明曲(しようみようきよく)を具備した法要を指す。また,この2曲自体を指すこともあり,〈二箇法要付きの大般若転読〉というような言い方も行われる。…

【唄師】より

…仏教儀式で唱えられる声明曲(しようみようきよく)《(ばい)》を独唱する役の僧侶。仏教儀式には,顕教系と密教系があるが,顕教では四箇法要(しかほうよう)として《唄》《散花》《梵音(ぼんのん)》《錫杖(しやくじよう)》の4曲を,密教では二箇法要として《唄》《散花》を唱える。…

※「唄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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