表白(読み)ヒョウハク

デジタル大辞泉 「表白」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐はく〔ヘウ‐〕【表白】

[名](スル)
考えや気持ちなどを、言葉や文章に表して述べること。「心情を表白する」
ひょうびゃく(表白)
[類語]表現表す表出体現具現表明名状筆舌発現描出形象化言い表す書き表す形容する

ひょう‐びゃく〔ヘウ‐〕【表白】

《「ひょうひゃく」とも》法会ほうえまたは修法しゅほうの始めに、その趣旨を仏前で読みあげ、仏法僧三宝さんぼうおよび大衆だいしゅに告げること。また、その文。ひょうはく。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「表白」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐ひゃくヘウ‥【表白】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「ひょうびゃく」とも ) 仏語法会(ほうえ)や修法の際、その導師がその趣旨を書いた文を仏前で読みあげて、三宝および参会者に告げ知らせること。また、その文。開白(かいびゃく)。啓白(けいびゃく)。ひょうはく。
    1. [初出の実例]「表白開講之旨、主人不感歎、落涙難抑」(出典:権記‐寛弘八年(1011)三月二七日)
  3. ( 形動 ) ( では難解なことばを多く用いるところから ) ふざけていうこと。冗談。また、そのさま。ひょうはく。
    1. [初出の実例]「ひゃうひゃくも事による」(出典:談義本・八景聞取法問(1754)四)

ひょう‐はくヘウ‥【表白】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ことばや文書にあらわすこと。表明。
    1. [初出の実例]「吾人が心事は〈略〉早晩必ず天下に表白するの時節あるを信ずればなり」(出典:将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉一六)
  3. ひょうひゃく(表白)
    1. [初出の実例]「高座にのぼり、鐘うちならし、表白(ヘウハク)〈高良本ルビ〉の詞にいはく」(出典:平家物語(13C前)四)
  4. ひょうひゃく(表白)
    1. [初出の実例]「気らくだとひゃうはくをいふ座敷牢」(出典:雑俳・川柳評万句合‐明和四(1767)桜五)

おもて‐じろ【表白】

  1. 〘 名詞 〙 連句様式懐紙初折の裏(百韻なら一四句、歌仙なら一二句)だけすることをいう。⇔裏白(うらじろ)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「表白」の意味・わかりやすい解説

表白 (ひょうびゃく)

願文の一種。願文は神仏に祈願する文書であるが,所領を寄進して所願を述べる寄進状形式の願文,造塔堂,造仏,写経などに際して所願を述べ供養する供養願文,施物を表示し諷誦(ふじゆ)を所願する諷誦文など多種に及ぶ。表白は,以上のような施主・願主が認める願文とは異なり,施主・願主から依頼を受けた導師あるいは表白師が,修法・法会の開白または結願に際して,本尊の宝前にて法事の旨趣を啓白(けいびやく)すること,または啓白する文をいう。すなわち,行者たる導師の心中に求める所をあらわして,本尊,大衆に知らしめるために行うのが表白である。表白文の形は,初めに本尊に帰依する旨を唱え,次いで本尊,修法の功徳をたたえ,最後に導師・行者の所願を述べる。必ず読み告げるところから,啓白ともいい,また呪文を書き添え,これを唱えるところから,唱導とも称している。
執筆者: 表白は漢文読み下し体の詞章に簡単なフシを付け,切れ目切れ目で音を引いてユリを唱えるものだが,略してフシなしに唱えるばあいや,初頭部分以外を黙読に近く微誦するばあいもある。宗派によってはつねにフシなしに唱えることにしている。詞章は本来導師がそのつど作成するはずのものだが,現在では既成の詞章が定着している。天台系では〈ひょうびゃく〉,真言系では〈ひょうひゃく〉〈ひょうはく〉というなど,宗派により読み方が違う。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「表白」の意味・わかりやすい解説

表白【ひょうびゃく】

開白(かいびゃく),啓白(けいびゃく)とも。願主から依頼を受けて,導師や表白師がその法会や修法に際して,その趣旨を述べる美文調の文章のこと。神仏に祈願内容を伝える〈願文〉を兼ねるものもある。表白を類聚したものに,編者未詳の《表白集》(真言系で各種のものが残る)や安居院(あぐい)流の《澄憲表白集》などがある。
→関連項目作文大体澄憲東大寺諷誦文稿

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「表白」の意味・わかりやすい解説

表白
ひょうびゃく

声明 (しょうみょう) の曲種名。「ひょうひゃく」「ひょうはく」とも読む。法会 (ほうえ) に際し,その趣旨や所願を本尊に対して表明するもの。3つの部分から成り,初めに本尊聖衆などの三宝 (さんぼう) への帰依を表わし,次に法会や作法のおもな対象やその徳を講讃し,最後に行者の意志や祈願を述べる。はなやかな美文調で,法会の目的により種々の型がある。

表白
ひょうひゃく

表白」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

普及版 字通 「表白」の読み・字形・画数・意味

【表白】ひようはく

明らかにいう。

字通「表」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の表白の言及

【表白】より

…願文は神仏に祈願する文書であるが,所領を寄進して所願を述べる寄進状形式の願文,造塔堂,造仏,写経などに際して所願を述べ供養する供養願文,施物を表示し諷誦(ふじゆ)を所願する諷誦文など多種に及ぶ。表白は,以上のような施主・願主が認める願文とは異なり,施主・願主から依頼を受けた導師あるいは表白師が,修法・法会の開白または結願に際して,本尊の宝前にて法事の旨趣を啓白(けいびやく)すること,または啓白する文をいう。すなわち,行者たる導師の心中に求める所をあらわして,本尊,大衆に知らしめるために行うのが表白である。…

※「表白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android