願文の一種。願文は神仏に祈願する文書であるが,所領を寄進して所願を述べる寄進状形式の願文,造塔堂,造仏,写経などに際して所願を述べ供養する供養願文,施物を表示し諷誦(ふじゆ)を所願する諷誦文など多種に及ぶ。表白は,以上のような施主・願主が認める願文とは異なり,施主・願主から依頼を受けた導師あるいは表白師が,修法・法会の開白または結願に際して,本尊の宝前にて法事の旨趣を啓白(けいびやく)すること,または啓白する文をいう。すなわち,行者たる導師の心中に求める所をあらわして,本尊,大衆に知らしめるために行うのが表白である。表白文の形は,初めに本尊に帰依する旨を唱え,次いで本尊,修法の功徳をたたえ,最後に導師・行者の所願を述べる。必ず読み告げるところから,啓白ともいい,また呪文を書き添え,これを唱えるところから,唱導とも称している。
執筆者:富田 正弘 表白は漢文読み下し体の詞章に簡単なフシを付け,切れ目切れ目で音を引いてユリを唱えるものだが,略してフシなしに唱えるばあいや,初頭部分以外を黙読に近く微誦するばあいもある。宗派によってはつねにフシなしに唱えることにしている。詞章は本来導師がそのつど作成するはずのものだが,現在では既成の詞章が定着している。天台系では〈ひょうびゃく〉,真言系では〈ひょうひゃく〉〈ひょうはく〉というなど,宗派により読み方が違う。
執筆者:横道 万里雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…願文は神仏に祈願する文書であるが,所領を寄進して所願を述べる寄進状形式の願文,造塔堂,造仏,写経などに際して所願を述べ供養する供養願文,施物を表示し諷誦(ふじゆ)を所願する諷誦文など多種に及ぶ。表白は,以上のような施主・願主が認める願文とは異なり,施主・願主から依頼を受けた導師あるいは表白師が,修法・法会の開白または結願に際して,本尊の宝前にて法事の旨趣を啓白(けいびやく)すること,または啓白する文をいう。すなわち,行者たる導師の心中に求める所をあらわして,本尊,大衆に知らしめるために行うのが表白である。…
※「表白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新