大蔵省印刷局(読み)おおくらしょういんさつきょく

改訂新版 世界大百科事典 「大蔵省印刷局」の意味・わかりやすい解説

大蔵省印刷局 (おおくらしょういんさつきょく)

1871年(明治4)大蔵省(現,財務省)の中に設けられた紙幣司を源とし,同年紙幣寮紙幣寮の長は渋沢栄一)と改称された。当初は紙幣の製造・発行・交換などを業としたが,77年紙幣局,翌78年大蔵省印刷局と改称され,発行・交換の仕事は大蔵省に移された。その間,75年太政官の印書局と統合して紙幣寮の名称で活版印刷事業も行うようになり,98年内閣の官報局と併合され内閣印刷局と改称,さらに1943年ふたたび大蔵省印刷局,49年印刷庁となったが,52年三たび大蔵省印刷局となって現在にいたっている。同局は,国または都道府県庁など政府諸機関の印刷物を受注し,製紙から印刷までを行い,日本銀行券をはじめ,政府小切手,切手・印紙類,郵便はがき,為替証書,貯金通帳などの証券類および《官報》その他各官庁の書物を印刷している。本局のほか,製紙工場2,印刷工場6,出張所3,ほかに研究所,教習所,病院および政府刊行物サービス・センター(東京など10ヵ所,2012年閉鎖)などがある。2001年の省庁再編により財務省の付属機関となり,2003年に独立行政法人・国立印刷局となった。また,同様の組織各国にみられるが,イギリスステーショナリー・オフィス(Her Majesty's)Stationery Office(1786開設)は,歴史も古く,刊行分野も多岐にわたり,著名。
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世界大百科事典(旧版)内の大蔵省印刷局の言及

【貨幣】より

…新しい金貨・銀貨・銅貨は円形の貨幣となり,江戸時代の楕円形の大判・小判,なまこ形の丁銀,不定形の小粒であった豆板銀などが円形に統一された形状をもつことになった。さらに同年10月に紙幣寮(現在の大蔵省印刷局)が開設され,政府紙幣を製造し,のちに国立銀行紙幣・日本銀行券などの製造に当たった。【作道 洋太郎】
[近代日本の貨幣法制]
 安政の開港により,日本へのメキシコ・ドルの流入と日本からの金貨の流出が激化し,貨幣制度は大混乱に陥った。…

※「大蔵省印刷局」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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