改訂新版 世界大百科事典 「大覚醒」の意味・わかりやすい解説
大覚醒 (だいかくせい)
Great Awakening
18世紀中ごろアメリカ植民地に広まった信仰復興運動。住民の宗教的自覚を高め,教会の教義や制度に変革をもたらし,社会的・政治的影響も大きかった。信仰復興はニューイングランドではJ.エドワーズの影響で始まり,中部植民地ではオランダ改革派とスコットランド系長老派の間におこったが,1739年イギリスの説教者G.ホイットフィールドが訪れ巡回伝道を開始すると,各地の連携がすすめられた。南部でも50年代から長老派やバプティストの間で運動が広まった。信仰復興は個人的宗教感情を重視し,一般信徒も巡回伝道や説教に従事したので,既存の教会制度や聖職者の権威が損なわれ,住民の民主的気風を養った。この結果,大覚醒の推進派と反対派の分裂がおこり,教派の多様性がもたらされ,また信教の自由が促進された。信徒の良心の自覚や地域をこえた連帯感は,アメリカ独立革命の精神的風土をもたらした。
執筆者:大下 尚一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報