大間原発(読み)おおまげんぱつ

共同通信ニュース用語解説 「大間原発」の解説

大間原発

電源開発が青森県大間町建設している出力138万3千キロワットの改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)。燃料の全てにウランプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使う世界初の商業炉となる予定で、核燃料サイクル政策の中核施設の一つに位置付けられる。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後は建設が滞っている。津軽海峡を隔てた北海道函館市との距離は最短で約23キロで、市と市民団体が国と電源開発に建設差し止めなどを求めて札幌高裁、東京地裁で係争中。

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百科事典マイペディア 「大間原発」の意味・わかりやすい解説

大間原発【おおまげんぱつ】

電源開発J-POWER)が建設中の原子力発電所。青森県下北郡大間町。1号機の改良型沸騰水型軽水炉を建設中で,2008年11月,運転開始予定が2012年3月から2014年11月に延期されたが,2013年3月には未定とされた。1984年町議会による誘致決議がなされたが,地権者による反対で2003年,当初の予定用地での建設計画を断念,2008年5月まで着工されなかった。反対運動で計画変更と設置申請を見直さざるを得なかった異例のケースである。2011年3月の福島第一原発事故を受けて,建設主体の電源開発は5月2日,タービン建屋原子炉建屋などの前面に防潮壁を設置すると発表した。2010年には大間町と函館市の市民グループが国と電源開発を相手取り建設差し止めの訴訟を起こした。訴訟は2013年4月第3次訴訟にまで進展している。2011年5月の青森県知事選では,推進派の三村知事が三選を果たし,津軽海峡を挟んで対岸の函館市長が凍結を求めた。2013年1月,第二次安倍晋三内閣の茂木経済産業大臣は〈国策として推進する〉と言明している。これに対して,函館市をはじめ道南6首長も凍結を国,自民党に訴えている。2013年7月に施行された原子力規制委員会の新規制基準では,過酷事故対策,地震津波対策等で厳しい安全対策を求めているが,電源開発はクリアできるとしている。2014年4月函館市(工藤寿樹市長)は東京地裁に大間原発建設凍結を求めて国と電源開発を相手取り建設差し止めの訴訟を起こした。提訴は立地市町村とその都道府県にある建設の同意手続きが,周辺自治体にはないことを問題視しており,同意手続きの対象に30km圏内の自治体を含めるべきで,国が2008年4月に出した大間原発の原子炉設置許可は,福島第一原発事故前の基準で不備があり,許可も無効と主張している。2015年3月東京地裁の増田稔裁判長は,函館市が差し止めを求める具体的な理由についての〈実質審理〉に入ることを正式に決めた。

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