大願寺跡(読み)だいがんじあと

日本歴史地名大系 「大願寺跡」の解説

大願寺跡
だいがんじあと

[現在地名]鶴田町柏原 大願寺

川内せんだい川右岸を通る国道二六七号沿いの長岡原ながおかばるの台地北端、字上大願寺にあった。すぐ北を同川支流夜星やせい川が南東へ流れる。黄竜山と号し、薬師堂の本尊は薬師如来木造坐像(「鶴田再撰方糺帳」鶴田町役場蔵)。貞治三年(一三六四)渋谷氏系答院氏の重成(公重)により一関宗万を開山、起宗宗胄(応永三年没)を初住として創建され答院記)、その後答院氏の菩提寺となったと伝える(扶桑五山記)。しかし「三国名勝図会」は当寺の末寺大村大応おおむらだいおう(現答院町)に残された開山の一関の位牌に文和元年(一三五二)遷化とあることから、寺の創建年と一関の遷化年の矛盾を指摘し、位牌の年が誤りか、あるいは当寺創建が文和以前にさかのぼるかと考察している。また同書は天台宗としているが、山号および開山などから臨済宗寺院であったことが明らかである。

応安五年(一三七二)九月四日付の当寺における軍勢甲乙人等の濫妨等を禁じた沙弥某禁制案と、大願寺長老に宛て祈祷を命じた沙弥某依頼状案(ともに答院記)が伝えられていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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