大飛島遺跡(読み)おおひしまいせき

日本歴史地名大系 「大飛島遺跡」の解説

大飛島遺跡
おおひしまいせき

[現在地名]笠岡市飛島 大飛島

大飛島の東端、東に向けて海中に長く突き出した砂洲の基部にある祭祀遺跡。遺跡は砂洲の上にあり、その前には高さ十数メートルの海食崖がみられる。この海食崖には幾つかの石塊があり、また崖の麓に転落した石塊もあるが、特別にそれが祭祀の対象とされるようなものではない。注目されるのは、遺跡の位置する砂洲が東に向けて二〇〇メートル余りも海中に突き出していて異様な景観を呈していることである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大飛島遺跡」の意味・わかりやすい解説

大飛島遺跡
おおびしまいせき

岡山県笠岡(かさおか)市大飛島州の南にある、奈良時代から平安時代に至る祭祀(さいし)遺跡。干潮になるとこの大飛島から対岸小飛島に向かって低い砂州が延び、この砂州の基部にあたる位置が遺跡地となっている。またこの遺跡から背後の山上に向かって巨石が重なり合い奇異な景観を呈する。遺跡の最下層からは和三彩、緑釉(りょくゆう)、須恵器(すえき)、土師器(はじき)をはじめ、銅鈴、和同開珎(わどうかいちん)、万年通宝、神功開宝(じんぐうかいほう)、帯金具(おびかなぐ)、把頭金具、銅鏡、管玉(くだたま)、小玉(こだま)、ガラス器、銅片など奈良時代の中央文化を物語る遺物類が、遺構を伴って発見されている。またその上層の平安時代の層からも緑釉、須恵器、土師器に混じって、隆平永宝、富寿神宝(ふじゅしんぽう)以降の皇朝十二銭や、銅鏡、銅鈴などの出土品が知られている。

[鎌木義昌]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android