神島(読み)かみしま

精選版 日本国語大辞典 「神島」の意味・読み・例文・類語

かみ‐しま【神島】

[一] 岡山県笠岡市笠岡港の南にある神島(こうのしま)のこと。一説には、広島県福山市西神島(にしかしま)町(旧神島村)ともいわれる。
※万葉(8C後)一五・三五九九「月よみの光を清み神島(かみしま)の磯廻(いそみ)の浦ゆ船出すわれは」
[二] 兵庫県南西部、家島諸島の最東端にある上島の古称。〔播磨風土記(715頃)〕
[三] 三重県鳥羽市、伊勢湾口にある島。三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台、歌島のモデル

かみ‐じま【神島】

海中にあって、神仙が住むといわれる蓬莱山(ほうらいざん)の別名。亀山(かめやま)

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デジタル大辞泉 「神島」の意味・読み・例文・類語

かみ‐じま【神島】

蓬莱山ほうらいさんの異称。

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日本歴史地名大系 「神島」の解説

神島
こうのしま

[現在地名]笠岡市神島・神島外浦こうのしまそとうら高島たかしま飛島ひしま

横島よこしま村の南方に位置する島嶼で、中央部のつがのまる(三〇六メートル)を最高峰とする東西に走る山地で、北面する内浦うちうらと南面する外浦に二分される。内浦は塩田に適した遠浅の海浜が随所にみられ、外浦は内浦に比し畑地が多く、良港に恵まれた。中央部が山地のため沿岸部が島内の主要交通路となった。東方、神島水道の子殿州こどんす孫殿州まごどんすの岩礁は島の天神を背景に特異な景観をなし、北方にかた島・木の子きのこ島、南方にたか島・明地みようじ島・大飛おおひ島・小飛こび島などの小島が浮ぶ。嘉永七年(一八五四)の一枚刷の備中国巡覧大絵図には周囲四里四町三〇間、笠岡陣屋へ航路一里、備後国福山城下へ海上三里、同国とも(現広島県福山市)へ航路四里、内浦から外浦まで船路一里、陸路一五町とある。島名の由来については「御崎浅の王と申所ニ冠掛ケと申所」があり、そこに神武天皇が行幸したため(文政二年「品々書上帳」中塚文書)とか、菅原道真が島の天神に立寄ったことによる(備之中州名所)などの伝えがある。神島東村こうのしまひがしむら遺跡からは人骨・縄文土器片が出土、片島には古墳がみられる。

「万葉集」巻一五、遣新羅使一行の歌にみえる「月よみの光を清み神島かみしまの磯間の浦ゆ船出すわれは」は備後国神島かしま(現福山市)を詠んだ歌といわれるが、同歌が「玉の浦」(現玉野市)の次に配されるところから、当地を詠んだものとする説も有力。

神島
かしま

[現在地名]田辺市新庄町 神島

田辺湾の東岸、鳥の巣とりのす沖合に浮ぶ二ヘクタールほどの小島。「おやま」「こやま」の二島からなる。全島が暖地性の植物でおおわれ、国指定天然記念物。

古くから島内山頂に小祠神島神社(「続風土記」に神島明神森とある)が祀られ、海上鎮護の神として崇拝され、島内の神聖が保たれてきた。

神島
かみしま

播磨国風土記揖保いぼ郡の条に神嶋とみえ、家島群島の総称という伊刀いと嶋の東に位置し、仏像に似た石神があることから島名がついたという。応神天皇の頃、新羅の客人が当島に立寄って、五色に輝くこの像の目を盗んだところ、たちまち嵐が起こって、その客の船を転覆させたという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神島」の意味・わかりやすい解説

神島
かみしま

「かみじま」ともいう。三重県鳥羽市北東方,伊勢湾口にある島。鳥羽港から約 15km,愛知県伊良湖岬から 4kmに位置し,鳥羽市に属する。最高点 171m。周辺は暗礁が多く,伊勢湾屈指の好漁場で,海釣りの好適地。タコの水揚げが多い。伊良湖岬との間は伊良湖水道と呼ばれ,潮流が激しく,海上交通の難所として有名。三島由紀夫の『潮騒』の舞台として知られる。伊勢志摩国立公園に属する。面積 0.76km2。人口 534 (2000) 。

神島
こうのしま

岡山県南西部,笠岡市の島であったが,笠岡湾の干拓により 1977年本土と陸繋島化した。南岸には化学肥料工場があり,丘陵部ではミカン栽培も行われる。面積 9.57km2。人口 3297 (1996) 。

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百科事典マイペディア 「神島」の意味・わかりやすい解説

神島【こうのしま】

岡山県笠岡市に属し瀬戸内海に臨む島。笠岡湾の干拓により1977年本土と陸続きになった。面積10.4km2。古来から歌に詠まれ,中世には製塩も行われた。江戸時代は加子浦で,100艘をこえる漁船があった。クルマエビの養殖が行われる。南の高島(名勝)とともに瀬戸内海国立公園景勝地
→関連項目笠岡[市]

神島【かみしま】

伊勢湾口にあり,三重県鳥羽市に属する面積0.76km2の島。潮流の激しい伊良湖(いらご)水道を隔てて伊良湖岬に対する。紀伊山地の沈水により生じ,付近は暗礁が多く好漁場をなす。古くは亀島ともみえ,江戸時代にはタイやアワビを納めた。鳥羽港から船便がある。三島由紀夫《潮騒》の舞台,歌島のモデルとして知られる。

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デジタル大辞泉プラス 「神島」の解説

神島

三重県鳥羽市、志摩諸島に属する島。伊良湖水道の中央部に位置する。距離的には鳥羽港よりも、愛知県・渥美半島の伊良湖岬に近い。奈良時代・平安時代から海上交通の要衝。三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台として有名で、現在も海女漁が行われている。

神島(かしま)

和歌山県田辺市、田辺湾にある無人島。「おやま」「こやま」の2島からなり、干潮時にはこの2つの島が陸続きとなる。国指定名勝「南方曼陀羅の風景地」の構成地のひとつ。

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事典 日本の地域遺産 「神島」の解説

神島

(三重県鳥羽市神島)
恋人の聖地プロジェクト」指定の地域遺産。

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世界大百科事典(旧版)内の神島の言及

【田辺[市]】より

…博物学者で,明治期の神社合祀令に強烈な反対運動を展開した南方熊楠(みなかたくまぐす)は当地出身で,その居宅が現存する。田辺湾上の小島神島(かしま)(天)は全島が暖地性の植物でおおわれる。田辺湾沿岸には製塩遺跡が多く,海食による岩陰を墓に利用した岩陰遺跡もある。…

※「神島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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