大鳥井山遺跡(読み)おおとりいやまいせき

国指定史跡ガイド 「大鳥井山遺跡」の解説

おおとりいやまいせき【大鳥井山遺跡】


秋田県横手市大鳥町にある居館跡。横手盆地の中部東縁、西側を横手川、北側を吉沢川、南側を明永(みょうえい)川に限られた小吉山と大鳥井山との2つの小独立丘陵上に立地する。小吉山の北側と東側には外側の最大幅9.2m、高さ1.6mという大規模な土塁と外側の最大幅8.8m、深さ2.5mという堀が二重にめぐらされ、防御性の高い居館であることが明らかになっている。前九年の役(1051~62年)の経過を述べた『陸奥話記』によれば、清原光頼(みつより)・頼遠父子の本拠地と考えられている。外側から内側に向かって、土塁、空堀、土塁、空堀の順で配置され、この内側の居住域の外縁には柵列も作られている。柵に沿って物見櫓(やぐら)と考えられる小規模な建物も存在し、外側の堀には土橋が架かる場所も見つかっている。これらの施設で区切られた内部には、掘立柱建物跡約60棟や竪穴(たてあな)住居跡、井戸跡などがあり、掘立柱建物跡は1間×1間または1間×2間ほどの比較的小規模で、竪穴住居跡にはカマドはない。出土遺物の大部分を占める土師器(はじき)の年代は10世紀後半から11世紀末であり、前九年の役や後三年の役(1083~87年)と同時期の遺跡であることがわかる。出土遺物は10世紀後半~12世紀代とやや幅があり、この間断絶することなく遺物の変遷が確認でき、また、出羽側でこのような状況の遺物出土はなく、陸奥側においても10世紀後半から11世紀代は史料が少なく貴重である。2010年(平成22)に国の史跡に指定された。JR奥羽本線ほか横手駅から徒歩約30分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android