大鳥郷(読み)おおとりごう

日本歴史地名大系 「大鳥郷」の解説

大鳥郷
おおとりごう

和名抄」は「於保止利」と訓ずる。「和泉志」は大鳥・北王子きたおうじ長承寺ちようしようじ村・野代のだい(現堺市)富木とのき(現高石市)の地とするが、これに船尾ふなおしも(現堺市)高石たかいし土生はぶ大園おおぞの綾井あやい今在家いまざいけ(現高石市)も加えた地を郷域とすべきであろう。なお郷域は時代によって若干変動し、平安後期以降の国衙領草部くさべ郷は富木、取石とろし(土生・大園地域)を含んでいた。郷内の式内社としては、和泉国唯一の名神大社中世一宮とされた大鳥神社(現堺市)をはじめとする大鳥(鍬靫社ともいう)大鳥美波比おおとりみはい大鳥井瀬おおとりいせ大鳥浜おおとりはまの大鳥五社のほか、押別おしわけ等乃伎とのき高石大歳おおとしの九社がある。郷内の条里は、石津いしづ川地区の北一六度西、高石東たかいしひがし地区の北四二度西、富木西地区の北二七度西の三方向の方位をもつが、坪並は北西端を一坪とし南へ連続式に数えて北東端を三六坪とし、里名を固有名詞で表す点で共通する。なお高石東地区の条里界線は和泉郡と共通するが坪並が異なっている。

郷内には原始・古代遺跡が多い。なかでも四ッ池よついけ遺跡(堺市)は縄文後・晩期から弥生時代にかけての遺構・遺物を大量に出土しており、とくに弥生時代には旧和泉郡の池上曾根いけがみそね遺跡(和泉市・泉大津市)とともに、この地方の母村的位置を占めていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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