奈良・母子放火殺害(読み)ならぼしほうかさつがい

知恵蔵 「奈良・母子放火殺害」の解説

奈良・母子放火殺害

2006年6月20日早朝、奈良県田原本町の医師(当時47)方が全焼し、妻(同38)と次男(同7)、長女(同5)の計3人が死亡した。奈良県警は22日、私立高校1年の長男(同16)を殺人と現住建造物等放火容疑で緊急逮捕した。県警の調べに対し、長男は「父親から成績のことで強くしかられた。暴力も受けた」と述べ、母親については「日頃からささいなことを父親に告げ口する」と不満を話した。奈良地検は7月12日、殺人と現住建造物等放火の非行事実で奈良家裁に送致した。地検は「3人を死亡させた結果の重大性に加え、反省の情が乏しい」として、公開の法廷で裁判を受けさせる刑事処分相当との意見書を付け、検察官送致(逆送)を求めた。家裁は2週間の観護措置を決定し、奈良少年鑑別所に送った。地検の調べでは、長男は中間試験の英語の成績が悪いことがわかった6月上旬、自宅への放火と家出を計画。6月20日の保護者会で中間試験の成績が親に伝えられることになったことから、放火を決意。父親が家にいた19日未明に放火するつもりだったが、寝過ごして実行できず、保護者会当日の朝放火したとされる。奈良家裁は8月、長男の犯行時の精神状態などを鑑定するため、10月中旬まで鑑定留置する手続きをとった。

(緒方健二 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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