妻有庄(読み)つまりのしよう

日本歴史地名大系 「妻有庄」の解説

妻有庄
つまりのしよう

現中魚沼郡・十日町市に所在した庄園。庄内の地名としては赤沢あかさわ(現津南町)下条げじようの内平村・羽根川はねかわ(現十日町市)などいずれも信濃川右岸の地がみえるが、中魚沼一帯を表す総称として用いている例もあり、庄域はほぼ同じ範囲に所在した波多岐はたき庄と弁別しがたい。おそらく両者は同一庄の異名であったと考えられる。「平家物語」長門本(横田河原合戦の条)に「津張ノ庄司大夫宗親」とある。文書での初見は暦応四年(一三四一)六月日の市河倫房軍忠状(市河文書)で、北朝方の大将上杉憲顕の軍勢催促に応じた信濃国の国人市河倫房は、六月三日「妻在庄内赤沢南山」の陣にはせ向かい、南朝方を討取り新田右馬助(大井田経世)・同大膳亮らの館を焼払ったという。「太平記」巻一〇によれば、元弘三年(一三三三)新田義貞挙兵する際の軍議に「越後国ニハ大略当家ノ一族充満タレバ、津張郡へ打超テ、上田山ヲ伐塞ギ、勢ヲ付テヤ可防」との意見も出ており、越後のうちでもとくに新田氏の勢力が強かった地域と思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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