孔席暖まらず墨突黔まず(読み)コウセキアタタマラズボクトツクロマズ

デジタル大辞泉 「孔席暖まらず墨突黔まず」の意味・読み・例文・類語

孔席こうせきあたたまらず墨突ぼくとつくろまず

班固「答賓戯」から》孔子座席は暖まる暇がなく、墨子の家の煙突は黒くなることがない。孔子と墨子は天下を遊説して回り、家に落ち着くことがなかったということ。

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精選版 日本国語大辞典 「孔席暖まらず墨突黔まず」の意味・読み・例文・類語

こうせき【孔席】 暖(あたた)まらず墨突(ぼくとつ・くろつき)(くろ)まず

  1. 孔子の席は暖まることなく、墨子の家の煙突は煙で黒くなることがない。孔子と墨子は世を救うために東奔西走して家におちつくことがなかったということ。
    1. [初出の実例]「孔席暖(アタタマル)なく、墨突(クロツキ)(クロ)まず」(出典:世俗諺文鎌倉期点(1250頃))
    2. [その他の文献]〔班固‐答賓戯〕

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故事成語を知る辞典 「孔席暖まらず墨突黔まず」の解説

孔席暖まらず、墨突黔まず

自分の家にいる時間がほとんどないほど、忙しく働くことのたとえ。

[使用例] 無事なるものは午砲を聞きて昼飯を食い、忙しきものは孔席暖かならず、墨突けんせずとも云い[夏目漱石*人生|1896]

[由来] 一世紀の中国、前漢王朝の時代の歴史家、はんの文章の一節から。班固の理想は、生きているうちにたくさん仕事をして、死後名声を残すこと。昔の聖人とか哲人とか呼ばれる人たちだって働きづめで、いつも出かけていたから「孔席暖まらず、墨突黔まず(孔子が座る席は暖まることがなく、墨子の家の煙突は煙で黒くなることがなかった)」と述べています。墨子とは、紀元前五世紀ごろに活躍した、古代中国の思想家です。

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