日本大百科全書(ニッポニカ) 「学術写真」の意味・わかりやすい解説
学術写真
がくじゅつしゃしん
学術研究の資料として撮影され、供される写真をいう。撮影時の使用器材や撮影方法、使用目的に即して顕微鏡写真、水中写真、気象写真、天体写真、分光写真、赤外線写真、紫外線写真、高速度写真、光弾性分析写真、物理的測定記録、写真製図、医学写真、光度測定写真、航空写真、衛星写真、放射線写真、原子写真、熱線写真などの区別がある。また、考古学資料とされる埋蔵文化財の記録写真なども、学術写真に含まれる。これら学術写真は今日では、デジタル技術を用いて制作されることが多い。
このうち高速度写真は100万分の1秒の露出が可能なまでに発達し、超高速流体、振動、破壊、衝撃、燃焼、放電、レーザー・フュージョン、プラズマ現象、溶接、切削、成形などの工業的応用のほか、医学、生物学諸分野にも広く応用されている。また航空写真やリモート・センシングともよばれる衛星写真は、これまで地図の作製などに応用されてきたが、その後地球を対象として、資源や環境調査に進出している。これらの写真の新しい応用範囲は、デジタル技術と融合した画像処理工学の目覚ましい進歩によって、著しく拡張された。
[重森弘淹・平木 収]