宇洞ヶ谷横穴(読み)うとうがやおうけつ

改訂新版 世界大百科事典 「宇洞ヶ谷横穴」の意味・わかりやすい解説

宇洞ヶ谷横穴 (うとうがやおうけつ)

静岡県掛川市,JR掛川駅の西1.5km,低い丘の中腹をうがって営まれた,日本で最大級の横穴。1964年掛川市し尿処理場建設工事中に発見され,横穴本体は原状保存ができず消滅した。長い墓道の突き当りに岩盤まで削った壁を作り,幅1m,高さ2m弱の穴をあけ,その奥に高さ2.6m,幅4.4m,奥行き6.4mの穴蔵をうがち,中央に大きな石棺を削り出した構造であった。棺内に銅鏡,飾大刀,玉類が,棺の周囲に武器・武具馬具土器陶器の類が副葬され,その数313点に及んだ。飾大刀の中には単竜環頭式銀装大刀があり,朝鮮半島からの舶載品とみられる。この地域では,古墳時代後期になると円墳に代わって横穴が群集するようになるが,この横穴はその中で際立った存在である。築造は6世紀と推定され,被葬者はこの地域の首長級の豪族であったと考えられる。副葬品は一括静岡県指定考古資料として掛川市教育委員会で保存している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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