うつ‐の‐やま【宇津山】
- 静岡市西端にある山。宇都山。歌枕。→宇津谷峠。
- [初出の実例]「駿河なるうつの山べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり」(出典:伊勢物語(10C前)九)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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宇津山
うつのやま
紀行文などにみえる峠道。現在の静岡市宇津ノ谷と岡部町岡部の境付近とされ、東海道の難所であった。「伊勢物語」では、東下する主人公が「宇津の山」を通り、たいへん暗く、蔦・楓が茂るなか見知った修行者に出会い、和歌を詠むというくだりはよく知られる。のち多くの紀行文が、この文章を踏まえて記述し、しばしば峠の木などに札をつけて和歌を書付けている(「信西法師集」「東関紀行」など)。歌枕の地としても知られ(八雲御抄)、「新古今集」に載る家隆朝臣の「旅ねするゆめぢはゆるせうつの山せきとはきかずもる人もなし」の歌などがある。峠の風景は貞応二年(一二二三)の「海道記」に詳しい。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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