朝鮮,李朝時代の地方官で,府尹,大都護府使,牧使,都護府使,郡守,県令,県監の総称。員(ウオン)ともいう。道の長官である観察使の監督下で,邑(府,大都護府,牧,都護府,郡,県等,道内の行政区画の総称)内の統治にあたった。その任務は守令七事と呼ばれ,農業を盛んにすること,戸口数を増やすこと,学校を興すこと,軍政を修めること,賦役を均等に課すこと,裁判を迅速に行うこと,奸悪な人物をなくすことであり,この七事を基準にして観察使が各守令の勤務評定を行い,善・殿・悪・最の4等級の評価を中央に報告する仕組みであった。守令の権限は大きなものであったため,国家は出身地の守令には任命しない,同一地での任期は1800日を限度とする,等の統制策をとった。守令は実際には1,2年で交代することが多く,地方の実情にうとかったために,地方統治に当たっては郷庁などにいる在地の有力者の助言と補助を不可欠とした。
執筆者:宮嶋 博史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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