デジタル大辞泉
「守」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
もり【守】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「もる(守)」の連用形の名詞化 )
- ① 監視すること。監視しまもること。また、その人。番人。「島守」「野守」など、多く複合語として用いられる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- [初出の実例]「いいえね、そりゃ独身と云っても、やはりこの家に置いて位牌の守(モリ)をさせて貰ひます」(出典:欅の芽立(1936)〈橋本英吉〉八)
- ② 子どもの面倒をみること。子どもをまもり養育すること。また、その人。子守。守役。傅(かしずき)。〔名語記(1275)〕
- [初出の実例]「おれが骸(からだ)がきかねへから、守(モリ)が一つ出来ねへのに」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
- ③ 和船の帆柱の受座。船底に大栓をもって固着し、さらに盲居(めくらすえ)というせり木をもってかためる。中央に帆柱の元の凸部這座(はいのざ)をはめ込む凹所(守這座)を設ける。子持。合(ごう)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
しゅ【守】
- 〘 名詞 〙
- ① 令の官位相当制に関する用語。自分の任ぜられた官職の相当位が、自分の帯している位階より高い場合、位署などの際、位階と官職名の間に書き加えて、両者の関係を示した語。→ぎょう(行)。
- [初出の実例]「而本位有二高下一者。若職事卑為レ行。高為レ守」(出典:令義解(718)選叙)
- ② 「こくしゅ(国守)」「しゅご(守護)」などの略。
- [初出の実例]「漢中の守になったぞ」(出典:史記抄(1477)一三)
こうかう【守・長官】
- 〘 名詞 〙 ( 「かみ(長官)」の変化した語 ) 令制で、四等級に分けたうちの最上位の官をいう。「こうの君」「こうの殿」などと熟して用いられる。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通
「守」の読み・字形・画数・意味
守
常用漢字 6画
[字音] シュ
[字訓] まもる
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
宀(べん)+寸。宀は屋。屋の中で、ことを執ることをいう。〔説文〕七下に「守官なり」とし、宀を寺府、寸を法度の意とするが、金文には(又)(ゆう)に従う形もあり、また干に従う字もあり、扞衛を主とする字である。のち官守のことをいい、また「道を守る」「拙を守る」のように、抱持・操守の意に用いる。
[訓義]
1. まもる、をまもる、とのもり。
2. ふせぐ、国を守る、領域を守る。
3. そなえる、もちこたえる、たもつ。
4. 心にたもつ、みさお。
5. おさめる、その状態を持続する。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕守 マモル・ミル・モル・ヒサシ・カミ・ツカサドル/求守 ヨリツグ/國守 クニノマモリ 〔字鏡集〕守 カミ・ミル・モル・ツカサドル・マモル・モトム・ヒサシ・ヲサム
[声系]
〔説文〕に守声として狩を収めるが、狩の初文は獸(獣)、狩はその形声の字である。
[語系]
守・狩・獸sjiuは同声。手sjiuも同声で、ものを執り持つ意がある。
[熟語]
守一▶・守▶・守衛▶・守気▶・守亀▶・守義▶・守宮▶・守旧▶・守圉▶・守教▶・守業▶・守狗▶・守愚▶・守具▶・守訓▶・守欠▶・守犬▶・守兼▶・守古▶・守故▶・守護▶・守候▶・守▶・守宰▶・守死▶・守司▶・守志▶・守雌▶・守事▶・守持▶・守舎▶・守者▶・守株▶・守柔▶・守将▶・守障▶・守常▶・守心▶・守身▶・守神▶・守真▶・守成▶・守制▶・守精▶・守静▶・守拙▶・守節▶・守折▶・守戦▶・守銭▶・守選▶・守捉▶・守退▶・守中▶・守冢▶・守貞▶・守杜▶・守把▶・守吠▶・守藩▶・守備▶・守文▶・守分▶・守保▶・守法▶・守樸▶・守盟▶・守黙▶・守門▶・守夜▶・守令▶・守礼▶・守霊▶・守隷▶
[下接語]
恪守・官守・看守・監守・居守・拠守・禁守・謹守・郡守・堅守・厳守・固守・攻守・拘守・国守・死守・自守・戍守・順守・遵守・城守・職守・占守・操守・大守・太守・鎮守・天守・典守・屯守・備守・兵守・辺守・保守・奉守・法守・牧守・墨守・留守
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
守
しゅ
shou
中国の地方行政長官。秦の時代に郡県制が成立すると,郡の長官を郡守と呼んだ。郡守は政務一般を担当し,軍事を司る都尉とともに郡治にあたった。秩禄は 2000石 (せき) で丞相などに次いで高く,その重要性を示している。次官に丞がいて郡守を補佐し,さらに属官にはそれぞれの担当官がいた。郡守や丞は皇帝が任命した。特に前漢中頃からは出身地回避の制 (→回避制度 ) が始ったが,属官は郡守が任命したから,在地の有力者が任用されることが多かった。前漢景帝の中元2 (前 148) 年以後太守と改名され,隋・唐時代に一時廃されたことがあったが,一応唐末まで存続した。しかし北魏の頃からは重要性が減じ,刺史がこれに代った。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の守の言及
【国司】より
…こうして令制的な国司制は斉明朝ころには全国的に成立し,その国司の下で編戸,里制の整備,戸籍の作成,班田の実施などが着々と進められたが,大税の管理権など,その権限はまだ制限されていた面もあったようで,国司制が完成の域に達したのは,大宝律令の制定(701)によってであった。
[制度]
表のごとく,全国約60の国は大・上・中・下の4等級に分けられ,国司はその等級によって定員を異にしたが,その官制は守(かみ)(長官),介(すけ)(次官),掾(じよう)(判官),目(さかん)(主典)の四等官と史生(ししよう)(書記)から成っていて,これらは中央官人が6年(のちに4年)の任期で赴任し,その下に多数の現地出身の属吏がいた。職員令の規定によると一般の国の守は,祠社,戸口,簿帳,百姓の字養,農桑の勧課,所部の糺察,貢挙,孝義,田宅,良賤,訴訟,租調,倉廩,徭役,兵士,器仗,鼓吹,郵駅,伝馬,烽候,城牧,公私の馬牛,闌遺の雑物および寺,僧尼の名籍のことをつかさどり,とくに陸奥,出羽,越後等の国はそのほかに饗給,征討,斥候をつかさどり,壱岐,対馬,日向,薩摩,大隅等の国は鎮捍,防守および蕃客,帰化を惣知し,また三関国(伊勢,美濃,越前)は関剗および関契のことをつかさどることになっている。…
【官位】より
…なお,官位令には,正三位の相当官末尾にみえる勲一等から,従八位下相当官末尾の勲十二等にいたる[勲位]が記載されているが,これは官位相当とは異質のものであり,それぞれの勲位が,官人序列のうえで,その位階に準じて末席に位置づけられることを示す比当(ひとう)関係にすぎない。そして官人が相当規定どおりに任命されない場合を想定して,大宝選任令,養老選叙令には,〈行(ぎよう)〉(位階が高いケース),〈守(しゆ)〉(官職が高いケース)をつける規定が立条されている。この官位相当規定は,すでに奈良時代前半から〈行〉の任命ケースが多い傾向がみえ,またその後,平安時代初期にかけて若干の相当規定の改訂がみられた。…
※「守」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」