安西郷・安西(読み)あんざいごう・あんざい

日本歴史地名大系 「安西郷・安西」の解説

安西郷・安西
あんざいごう・あんざい

中世からの地名。静岡平野の北部、安倍川と賤機しずはた山に挟まれた地域に比定され、南の一部は府中に属し、中世末期には安西町となっている。建武四年(一三三七)三月七日の足利直義下文写(諸家文書)によると、二階堂政頼は父行貞から文保三年(一三一九)一月一六日に譲られた服織はとり庄内「安西郷半分」などを安堵されている。このことから、鎌倉末期から当郷に二階堂氏が関係していたことがわかり、おそらく地頭であろう。文和五年(一三五六)二月一〇日、駿河守護今川範氏は大岩恵照女子の村主氏女が当郷住人鶴女へ売却した「安西郷内出口屋敷」などを、徳政により氏女に返却するよう命じた(「今川範氏書下」駿河伊達文書)

永正六年(一五〇九)九月六日の宝樹ほうじゆ院宛の今川氏親判物写(駿河志料)によると、氏親の家臣岡部次郎の知行地であった「庄安西郷之内田地弐町壱町本田・壱町新田」が寺領として安堵されたことが知られ、「庄」とは服織庄の略記と考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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