化学辞典 第2版 「定常状態法」の解説
定常状態法
テイジョウジョウタイホウ
steady-state treatment
一つの化学反応が多くの素反応から成り立っているときに,反応機構や反応速度の濃度依存などを解析するのに用いられる近似法.素反応が多く組み合わさっているので,そのなかには反応中間体も存在する.それらの生成と消滅は,原系の濃度が十分大きく一定とみなされるときは,釣り合って定常状態にあるものとして近似できる.たとえば,
の反応があるとすると,Bの濃度変化は次のように書ける.
ここで,k1,k2 は,それぞれの素過程の速度定数,[ ]は濃度である.[A]が十分大きく,k2 ≫ k1 のときは[B]の定常状態が成立することから
d[B]/dt = 0
とおくことができる.こうすることにより,反応速度に関する微分方程式は大部分簡単な代数方程式となり,計算はいちじるしく容易になる.複雑な化学反応を解析する手段として広く用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報